企業から寄せられた声(文字情報)

株式会社サカヱ彫巧社

会社概要

所在地: 大阪府大阪市
業種: 製造業
資本金: 25億円
従業員数: 23人

訓練概要

訓練コース: エッチング技術の習得コース
職種: 一般機械器具組立工
訓練生数: 1人(終了後に正社員採用)
期間: 平成22年1月~4月
訓練種別: 有期実習型訓練(キャリア・アップ型)

1.制度の活用に取り組んだ目的

株式会社サカヱ彫巧社
サカヱ彫巧社のエッチング作業現場。
熟練の職人と若者の活気がみなぎる

 当社は、お菓子や化粧品のパッケージ、お酒のラベルなどに使用している「箔版」という凹凸を出すための版を製造する製版業を営んでいる会社です。例えば、会社のマークや文字を箱に凹凸を付けて印刷したり、ボトルの局面部分に印刷したりする「箔押し」「浮出し」といった特殊印刷の版です。この製造技術は「エッチング技術」と呼ばれていますが、同業者は少なく、あまり知られていません。
 このため、若い人にこの技術を教えるときは、ゼロからのスタートとなることが一般的です。技術の指導は、ベテランの職人が担当しますが、これまでは体系的な訓練カリキュラムがなく、言わば「見て覚えろ」という教育方法でしたので、若い人が育ちにくい環境でした。それに加えて、社員の世代間のギャップが広がってきたことから、将来を担う人材を育てて技術をスムーズに継承させたいと思っていました。
 そのような中で、ジョブ・カード制度のことを知りましたので、早速、大阪商工会議所の大阪府地域ジョブ・カードセンターに相談に出向きました。この制度の概要について説明してもらったところ、人材を体系的に育てられるので、当社の悩みを解決する良い制度だと思って、有期実習型訓練を実施してみようと思いました。

2.具体的な取組内容

株式会社サカヱ彫巧社
取締役社長 舛重聖長さん(左)と取締役管理部長 大谷哲央さん(右)。
中央は大阪商工会議所 古橋さん。
「サカヱ彫巧社様の素晴らしい技術の継承に
ジョブ・カード制度をお役立ていただければ」(古橋さん)

 既にアルバイトとして採用していた20歳代の若年者を対象としたキャリア・アップ型の有期実習型訓練を実施することにしました。訓練の全体の目標は、担当作業域だけではなく、エッチング技術の全体を理解させることにしました。
 具体的には、OJTでは箔版をつくる全工程をマスターしてもらうために原稿をデータ処理し、フィルムをつくるというエッチング技術の前工程から始め、できあがったフィルムをもとに金属を溶かす作業(エッチング)に移っていく訓練カリキュラムとしました。エッチング作業では、有機溶剤などの様々な溶剤を使用しますので、有機溶剤に関する専門知識の習得や危険物の取扱方法を学ぶ必要があることから、Off-JTでは、これらの薬品の取扱方法を学べるように工夫しました。
 訓練生の技術の到達目標についても明確に設定し、それを達成させるためにはどのような訓練カリキュラムが必要かを社内で議論しながら作成しました。特に、訓練の成果をあげるためには、OJTの訓練内容と Off-JTの訓練カリキュラムを相互に関連させることが重要だと考えました。例えば、Off-JTでは、訓練生が理解しやすいように、「この作業をすれば、結果はこのようになる」というように理論的に解説することに努め、その後のOJTで実践するという形式にしました。
 また、自社の社員だけでは対応できないOff-JTの訓練カリキュラムについては、取引先に依頼して指導者を派遣してもらうことで対応しました。

3.阻害要因とそれを乗り越えるための工夫

株式会社サカヱ彫巧社
3ヵ月の訓練を経て正社員となった宮岡将太さん(24歳)。
現在、銅版のエッチングを担当しているが、
「すべての材質のエッチングに挑戦したい」と意欲的。

 これまでは、中途採用の社員に対する体系的な研修を実施していませんでしたので、今回の有期実習型訓練を実施するに当たっては、社員に訓練の目的や意義を理解してもらう必要がありました。このため、訓練の指導者になる社員以外にも訓練カリキュラムの作成段階から参画させることで、訓練に対する理解を深めてもらうことができました。同時に、実際に訓練生を指導する社員も訓練カリキュラムをこなすだけではなく、結果を重視するような指導方法を心がけるようになり、理論的な説明ができるようになりました。
 また、一部の Off-JTを外部の研修機関で受講させようとしたところ、既に定員に達していました。しかし、エッチング技術を習得するに当たって欠かすことのできない訓練カリキュラムであったため、この研修機関に定員を増やしてもらうように交渉したところ、了承を得ましたので、無事に受講させることができました。

4.制度の活用による具体的な効果

 当社が人材を採用するに当たって最も重要視しているのは、「ものをつくることの楽しさを知ってくれる」ということです。当社では、箔押し用凸版やシール印刷用凸版などのパーツをつくっていますので、商品が一般消費者に届いたときに、どのような形になっているかを楽しみにできる人材を求めていました。今回実施した有期実習型訓練を通じて一番嬉しかったのは、訓練生が日を追うごとに「ものづくりの楽しさ」を実感し始めたことです。アルバイト時代は、先輩社員からの指示どおりに作業を進めるだけでしたが、この訓練を通じて、エッチング技術について継続的、かつ、専門的に学んだこともあり、自分が担当する業務のみならず、その前段階の工程や次の工程の段取りも考えながら仕事を進めてくれるようになりました。
 また、訓練終了後に国の助成金を受給できましたので、訓練に係る経費負担を軽減できたことや指導した社員を中心に研修の重要性についての認識が高まったことも大きな成果だと思っています。
 今回の訓練で作成した訓練カリキュラムによって社内での人材育成の体系が確立できましたので、今後はこの訓練カリキュラムを活用して、さらに充実した研修ができるように取り組んでいきたいと思います。

有期実習型訓練の概要

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有期実習型訓練の概要