企業から寄せられた声(文字情報)

有限会社けんちゃん漬

会社概要

所在地: 島根県出雲市
業種: 製造業
資本金: 800万円
従業員数: 20人
URL: http://www.kenchanzuke.com/

訓練概要

訓練コース: 漬物製造・販売コース
職種: 食品製造技術者
訓練生数: 1人(終了後に正社員採用)
期間: 平成21年11月~22年2月
訓練種別: 有期実習型訓練(キャリア・アップ型)

1.制度の活用に取り組んだ目的

有限会社けんちゃん漬
当社のキャッチフレーズ

 出雲商工会議所の島根県地域ジョブ・カードサポートセンター主催のジョブ・カード制度説明会に参加してその概要を知り、さらに具体的な内容を知りたくて同商工会議所を訪問しました。
 出雲商工会議所の制度普及推進員の方から制度の目的や特徴、認定申請の手続きなどを具体的に説明してもらい、この制度を活用して正社員採用を行うこととしました。
 当社は、地元産品を使って漬物を製造し、販売していく、言わば職人気質の企業であり、これまでの新入社員教育は「見て覚えなさい」方式でした。
 私自身、漬物を漬けながら、月の半分以上は東京周辺を飛び回っていますので、社員教育用の訓練カリキュラムの必要性を感じていたこともあり、絶好の機会だと感じました。今では、「うす塩のサラダ感覚の浅漬け」はどこでも出回っていますが、当社独自の味付けは、私が若い頃から苦労して造り上げたものです。これから先の10年、20年後に出回っている漬物の塩梅は、若い社員の味に対する感性が造り上げていくものとの思いから、教育の重要性を日頃から痛感していたことも背景のひとつです。

2.具体的な取組内容

有限会社けんちゃん漬
塩振り35年の経営者

 出雲商工会議所から訓練カリキュラム、訓練計画表や評価シートのひな型の提示を受け、それを当社向けのものとするために、まず理想とする社員像を描きました。  一般的に「塩振り3年…」ということわざもあり、漬物の道も簡単ではありません。訓練期間を何カ月にするかを検討し、3カ月では少ないので4カ月としました。また、漬物職人がデパートなどで販売に携わり、直接、お客様の声を聞くことは大事なことですので、製造に加えて販売を訓練カリキュラムに追加するとともに、出雲商工会議所の指導によって外部講師による接客・接遇教育も Off-JTに加えました。
 このようにして訓練カリキュラムが完成したので、次に訓練計画表の作成です。
 講師は社長の私と専務、工場長の3人で務め、責任を持って教えることとしました。それぞれが仕入や製造、販売などの業務を兼務していますので、大まかなスケジュール調整をしながら訓練計画表を作成しました。
 出雲商工会議所の指導を得ながら、この制度の3種の神器といわれる訓練カリキュラム、訓練計画表および評価シートの完成に至りました。これらを活かすのは、講師の熱意と指導力、加えて訓練生の意欲です。このため、OJT とOff-JTを組み合わせながら、論理的に、かつ、「やってみせ、させてみて、ほめてやりながら…」の教育を行いました。
 当社の漬物には、以下のようなこだわりがあります。
 =漬屋のこだわり=

(1)契約農家と土作り、畑作りから取り組み、出雲地方の野菜を中心に、厳選された国産野菜を使用しています。

(2)細かいところまで包丁を入れ、手作り、包丁切りにこだわり、野菜の持ち味を活かした漬物造りをしています。

(3)漬かりムラがないように、あえて小樽で漬け、薄塩味に仕上げています。

(4)合成保存料や合成着色料は、一切使用していません。

 このようなこだわりも、なぜそんなにこだわるのかとの理由から教えました。 評価シートによる能力評価は2回実施すれば良いと説明を受けていましたが、2カ月目、3カ月目、4カ月目の3回実施し、習熟度をお互いに確認しました。

3.阻害要因とそれを乗り越えるための工夫

有限会社けんちゃん漬
こだわりに挑戦中の訓練生

 平成21年9月に受給資格認定申請書類を雇用・能力開発機構島根センターに送付したところ、出雲商工会議所の事前チェックを受けていましたので1週間程度で認定され、ハローワーク出雲で有期実習型訓練の求人募集を行いましたが、いつまで待っても求人に対する応募がありませんでした。
 やがて年末を迎えることもあり、欠員のままでは繁忙期を乗り切ることができないため、パート社員の募集も行うことにしました。
 有期実習型訓練での応募はありませんでしたが、幸い、パート社員での応募があったので、この社員をパート採用し、しばらく働きぶりをみていたところ、意欲も向上心もある人でした。
 この人を有期実習型訓練の訓練生にできないかと出雲商工会議所に相談したところ、パート社員を正社員に採用する場合にもこの制度を活用できるとのことでした。
 当社の場合は、運よくパート社員から正社員へということで、有期実習型訓練のキャリア・アップ型の適用を受けられたのですが、就職難といわれる労働市場を考えると、求職者にとっても、このような良い制度になぜ応募がなかったのか不思議な気もします。
 求職者や企業に対し、もっともっとこの制度のPRが必要ではないでしょうか。

4.制度の活用による具体的な効果

有限会社けんちゃん漬
こだわりの結晶の漬物

 訓練期間は4カ月で終了しましたが、当初予想した以上の効果がありました。今では大根漬については責任を持って任せられるほどに成長しています。
 これだけ早く技能を習得した理由としては、①社員教育をシステム化したジョブ・カード制度の訓練カリキュラムは、OJTと Off-JTの両面から訓練できる内容であること、 ②教える側と教わる側が事前に到達目標を共有できたこと、 ③1カ月ごとに能力評価を実施することにより、その時点でのレベルを相互に確認し合い、到達目標に近づく努力を重ねたことなどがあります。
 企業全体からみても、 ④教える側が長年の勘に頼って何気なくやっていたことを論理的になぜかを考え、再度勉強できたこと、そして、 ⑤その姿をみていた他の社員に積極性が生まれ、企業全体のスキルアップに繋がったことがあげられます。 訓練生によると、訓練日誌に毎日記入することによって自らの成長を確認できたことに加え、出雲商工会議所から紹介された外部講師の接客・接遇訓練はとても参考になったと言っています。
 たった1人のパート社員を正社員に育て上げていく教育訓練課程の中で、ジョブ・カード制度を活用したお陰でこのような成果をあげることができたことは望外の喜びです。
 今後、新入社員を採用する場合は、3種の神器といわれる訓練カリキュラム、訓練計画表と評価シートをさらに修正し、当社独自の教育訓練体制を確立したいと考えています。
 この制度の導入から助成金の支給申請までご支援いただいた出雲商工会議所の皆さんに感謝しています。

有期実習型訓練の概要

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有期実習型訓練の概要