企業から寄せられた声(文字情報)

上日向自動車株式会社《ホテル部:ホテルメリッサ日向》

会社概要

所在地: 宮崎県日向市
業種: 飲食店・宿泊業
資本金: 1億1,400万円
従業員数: 91人
URL: http://hotel-melissa.com/

訓練概要

訓練コース: ホテルフロントスタッフ業務育成
職種: 営業員
訓練生数: 1人(終了後に正社員採用)
期間: 平成21年12月~22年3月
訓練種別: 有期実習型訓練(キャリア・アップ型)

1.制度の活用に取り組んだ目的

上日向自動車株式会社《ホテル部:ホテルメリッサ日向》
フロントでの業務内容研修

 当社では、かねてより集客力に直接大きな影響を及ぼす接客スタッフの人材育成が最重要課題であるとの認識から、社内の人材育成システムの見直しや改善に取り組んできました。
 しかしながら、1.指導者となる人材が不足していること、2.人材育成のために割ける時間的余裕がないこと、3.従業員の定着率が悪いこと-などの克服すべき様々な阻害要因が立ちはだかり、これらへの対応に悩まされてきました。
 そこで、これまでの現有スタッフ(正規社員)の育成から「臨時社員の育成を通じた適性判断」を先行させるという方針に転換することにしました。
 そのような中で、ジョブ・カード制度を先行活用した企業から、制度のメリットを伺う機会があり、また、宮崎商工会議所からの熱心な勧めもあり、さらに当社自身も制度に魅力を感じていたことから、試みとして既に採用していた女性臨時社員を訓練生として育成することとしました。

2.具体的な取組内容

上日向自動車株式会社《ホテル部:ホテルメリッサ日向》
訓練生(右)の接客応対実践

今回の訓練において実施した具体的な取組
内容は、次のとおりです。

(1)OJT
 フロント業務の中に接客サービス実務を主体とする内容を設定し、さらに夏季営業のポイントとなるビアガーデンの統括管理業務を担当させ、訓練生に社員としての自覚と責任感を求めました。

(2)Off-JT
 ホテル経営における必須条件である英会話研修、観光知識の習得および接客マナーの基礎教育とともに、社会人としての資質向上についても重点を置いて研修を進めました。

(3)訓練指導体制の強化
訓練責任者および訓練指導者を対象とした有期実習型訓練の進め方の講習会を宮崎商工会議所のジョブ・カード制度普及推進員の方を講師として実施し、訓練に対する社内の意思統一を図りました。

(4)訓練生への対応
 宮崎商工会議所所属の登録キャリア・コンサルタントから、訓練の心得や職業意識の考え方、さらには今後の目標についてのキャリア・コンサルティングを受けさせ、訓練受講の意欲を引き出しました。

(5)社内の一体感の醸成
 訓練期間中は、訓練計画書(総括表:月日単位)をホテル内に掲出し、スタッフ全員が訓練の進捗状況を確認できるようにして、情報の共有化と意識の高揚を図りました。

(6)反省点
 訓練項目の設定に当たっては、多少欲張ったこともあり、時間配分に苦労し、訓練カリキュラムの変更を余儀なくされました。

(7)宮崎商工会議所のジョブ・カード制度普及推進員との信頼関係の構築
Off-JTの訓練指示書および実施・出席状況報告書の作成に苦労しましたが、宮崎商工会議所による当社の訓練責任者や指導者、訓練生に対する適切な指導と助言により、訓練の中弛みを回避し、自信とやる気を蘇らせることができました。

3.阻害要因とそれを乗り越えるための工夫

 ジョブ・カード制度を活用しての訓練は、初めての試みということもあり、全てが試行錯誤の連続でした。そこで、訓練の成果を上げるため、宮崎商工会議所のジョブ・カード制度普及推進員をリーダーにミニ研修会を開催し、訓練生および指導者の観点から訓練効果の阻害要因を抽出して議論を深めました。この結果、望ましい訓練の在り方と進め方として、次の諸点が指摘されました。
 なお、心理学者のエビングハウスによる忘却曲線(人間は訓練の受講後、20分後で58%、1時間後44%、1日後26%、1カ月後には21%の記憶しか残らない)を学習し、反復訓練の必要性を痛感したところです。
(1)訓練生への指摘事項

1.訓練生に役立つ内容であることを理解させる。

2.訓練内容がどのような実務に関連するかを理解させる。

3.強制的でなく、自ら積極的に行動できる環境をつくる。

(2)訓練指導者への指摘事項

1.訓練開始時に訓練生が訓練に集中できる雰囲気をつくる。

2.訓練の目的や内容を訓練開始前に提示・説明して理解させる。

3.フィードバックにより調整する。

4.訓練成果を評価する。

5.実施した訓練を一定期間経過後に再確認する(忘却防止のため)。

(3)総括
より実践的なOJT の実現と訓練による効果をより高めるためには、訓練カリキュラムの作成時に、訓練指導者や訓練生、先輩社員などの関係者全員が協調的に訓練を円滑に実施できる状況(時間、場所、認識)をつくり出すことが重要であるとの結論に至 りました。

4.制度の活用による具体的な効果

 特記すべきは、ジョブ・カード制度の狙いと当社が目指す人材育成の方向性が一致したことです。また、今回、有期実習型訓練に初めて取り組んだことにより、日々、試行錯誤の中で多くのことを学習できました。具体的には、次のようなことです。

(1)指導者が訓練を通じて訓練生に企業のポリシーを明確に伝達することの重要性を再確認できたこと。

(2)訓練生の学習姿勢に接することや訓練生が日ごと成長する姿を目の当たりにすることで、指導者および他のスタッフ自らも初心に返り、自己を冷静に評価する時間と自己研鑽の必要性を痛感できたこと。

(3)指導者および訓練生が訓練を通じて業務の基本事項の確認を定期的に実践することが重要であるということを再認識できたこと。

 この結果、訓練終了時に評価シートによる厳密な職業能力評価を行い、訓練生を正社員として正式採用するに至りました。
 そして何よりも、今回のジョブ・カード制度を活用しての人材育成を通じて得られた最大の効果は、以下のようにかねて当社が求めていたひとつの大きな流れを確立できたことに尽きると考えています。

有期実習型訓練の概要

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有期実習型訓練の概要