企業から寄せられた声(文字情報)

丸永製菓株式会社

会社概要

所在地: 福岡県久留米市
業種: 製造業
資本金: 1,488万円
従業員数: 150人
URL: http://www.marunaga.com/

訓練概要

訓練コース: アイスクリーム製造コース
職種: 食品製造技術者
訓練生数: 5人(本社工場)、1人(関東那須工場)
期間: 平成21年12月~22年3月(本社工場)
平成22年11月~23年3月(関東那須工場)
訓練種別: 有期実習型訓練(キャリア・アップ型)

1.制度の活用に取り組んだ目的

丸永製菓株式会社
代表的な製品「あいすまんじゅう」

 当社は、福岡県久留米市に本社と工場を置き、アイスクリームの製造および販売を行っている会社です。代表的な製品としては、 「あいすまんじゅう」「白くま」 などのロングセラーアイスがあります。
 創業は昭和8年で、和菓子製造業としてスタートしました。昭和31年に法人化し、その後、アイスクリーム業界に参入、「和菓子職人としての技術とアイスクリームを合わせてみたら、新しい価値観が生まれるのではないか」と考え、生まれたのが“小豆餡”を“バニラアイス”で包んだ「あいすまんじゅう」 です。世界的な食品品評会の「モンド・セレクション」では、連続して金賞を受賞しています。また、お蔭様で、この「あいすまんじゅう」は、今年で発売50周年を迎えることができました。
 近年では、関東・関西地区および全国に販路を拡大し、各地に営業所を開設するとともに、約10年前には関東那須工場(栃木県)を新設し、拡大する需要に対応するため、さらに製造ラインを増設しました。
 「より良いものをお届けしたい」という信念と、「厳しい目で国際的にも評価されたマルナガ品質を守り抜く」というコンセプトのもと、当社の工場内で従事するスタッフの人数は、通常期は100人ほどですが、アイスクリームという商品の特殊性から、最盛期(夏季)にはアウトソーシングを含めて製造工場で従事するスタッフの人数は、通常期の2倍にもなります。従って、このような販路の拡大や関東那須工場の新設・拡充に関連し、当社の将来を託せる基幹製造員の養成が急務となっていました。
 その時、久留米商工会議所の食品部会の部会長を拝命していた当社の社長がジョブ・カード制度の有効性に着目しました。この食品部会の主催で第1回ジョブ・カード制度説会を開催した際、ジョブ・カード制度の活用企業の事例発表では、次のようなコメントがありました。

(1)国の助成により、外部講師の活用が可能となり、最新技術の教育ができる。

(2)在職する社員を専門分野での講師とすることで、本人の再学習によってスキルアップになる。

(3)有期実習型訓練の実施の社内告知により、全社員に対して自己啓発や資格取得に積極的な雰囲気を醸成できる、など。

 以上のことから、この制度の利点と有効性を確信し、久留米商工会議所の福岡県地域ジョブ・カードサポートセンターの制度普及推進員の方の支援を受けるとともに、社内の各部署の社員の力を借りながら、当社独自の充実した訓練カリキュラムを作成し、有期実習型訓練を実施することにしました。

2.具体的な取組内容

丸永製菓株式会社
Off-JTの実施風景

 おりしも、最盛期(夏季)にアウトソーシングを依頼していた会社が倒産し、数十人のスタッフが路頭に迷っているとの情報を得ましたので、その中から希望者5人を契約社員として受け入れることにしました。そして、この5人を対象として基幹製造員を育成できないかと考えました。
 決して助成金ありきではなく、この人達は、当社の工場内である程度の仕事は経験し、理解もしていますが、それは単純作業でしかなく、それ以上にもっと専門的な知識と技術をこの機会に伝承すれば、きっと基幹製造員の候補になってくれるのではないかと思ったからです。
 工場内の製造現場で無理なく高度な技術力を高め、近い将来は、基幹製造員になれるように、福岡県地域ジョブ・カードサポートセンターの制度普及推進員の支援を受けながら、社内の各部署の社員の協力のもと、3カ月と10日間でOJT220時間、Off-JT56時間で、合計276時間の訓練カリキュラムと評価シートを作成し、雇用・能力開発機構福岡センターに認定申請しました。
 訓練カリキュラムのコンセプトは、食の安全、安心を得られるために必要な知識と能力を習得するものとして、最新の安全や衛生、防カビ、害虫対策などの訓練カリキュラムに社外講師を招聘し、外部の講習会にも参加させました。
 訓練の講師となる社員には、訓練開始前にジョブ・カード制度の内容と訓練カリキュラム、評価シート、訓練計画表の詳細および講師としての必要事項と注意事項をレクチャーしました。
 また、有期実習型訓練の開始日の朝礼では、全社員に対してジョブ・カード制度の内容と訓練カリキュラムについて紹介し、全社員に支援と協力を要請しました。
 5人の訓練生は、オリエンテーションで示された訓練カリキュラムの内容に当初は驚き、戸惑いました。しかし、これまでは派遣社員的な仕事を転々としてきた経験から、「自分達に対してこんなに真剣に考えて訓練カリキュラムを作り、習得の機会を与えてもらっている」との意識が芽生え、毎日の訓練日誌の内容が日一日と見違えるようになり、受講態度も変化している様子が見て取れるようになりました。それは、講師を務めた社員からのアドバイスに対する「訓練生からのレスポンスの質と量の変化」という具体的な形でも、訓練の成果が顕著に表れました。
 講師を務めた社員からも、訓練生の態度の変化によって教育係としての当初の不安が吹き飛んで、達成感と満足感を感じている様子が見て取れました。

3.阻害要因とそれを乗り越えるための工夫

丸永製菓株式会社
本社工場の全景

 製造業の現場の仕事というのは、往々にして先輩の後ろ姿によって教えられ、部下はその技術や経験を学ぶという、昔ながらの方法が存在します。そのやり方で叩き上げられてきた社員が当社にも多いので、いわゆる中堅社員といわれる社員たちは、今回は「教える立場」に直面し、今まで習得してきた自らの技能や技術を再確認し、再度学習するという良い場にもなりました。
 これまでは、見て学び、覚える習慣が身に付いているため、「口下手」「伝え下手」の社員が多く、有期実習型訓練を活用し、講師に任命されるとの情報に対し、当初は戸惑い、恐れる雰囲気が充満しました。
 しかし、「これまでは全社員の一致団結、努力の結果で会社の大きな成長が得られてきたが、現時点で次世代の中堅の基幹製造員を養成しないと、さらなる発展は望めない」ということを説明し、講師に任命される名誉を自覚し、任務を完了するよう説得しました。
 また、「訓練生に教えるには、教えられる側の2倍、3倍の知識と技能について勉強し、最新技術について教える準備が必要である」ということを説明し、各担当分野の訓練カリキュラムの内容の細部の再学習を促しました。そのことに対し、講師となった社員は十二分に応えてくれたと思います。
 その結果、訓練生のみならず、講師を務めた社員の資質向上にも繋がるとともに、全社員の学習意欲を向上させるための雰囲気の創造の原動力になったと感じています。

4.制度の活用による具体的な効果

丸永製菓株式会社
ジョブ・カード制度説明会で訓練の成果を発表

 有期実習型訓練の実施状況を観察していた入社3~4年目の社員からは、「自分達も負けていられない。(訓練生の人達に)いつか追い越されるかもしれない。勉強の機会があったら是非参加したい」という言葉が出ていたと、工場内の責任者から聞きおよび、有期実習型訓練の成果(相乗効果)を実感しました。

 【事務局後記】
 本社工場での1回目の有期実習型訓練への取り組みについては、平成22年9月6日に久留米商工会議所で開催した「ジョブ・カード制度説明会」(60人参加)において、丸永製菓(株)の業務部課長・森直朗氏から、他の活用企業3社の担当者とともに、事例発表してもらい、参加者からはジョブ・カード制度の有効性についての共感を得られることができました。
 また、関東那須工場での2回目の有期実習型訓練もキャリア・アップ型で、雇用保険適用事務所の所在地が久留米市のため、久留米商工会議所の福岡県地域ジョブ・カードサポートセンターが担当することになりました。しかし、遠隔地であるために、ジョブ・カードの交付をするためのキャリア・コンサルティングや訓練終了後のキャリア・コンサルティング、ジョブ・カードへの記入についての指導については当惑しました。しかし、宇都宮商工会議所に設置されている栃木県地域ジョブ・カードセンターの制度普及推進員の方の全面的なバックアップにより、雇用・能力開発機構栃木センターの支援を得ることができました。
 この活用事例で特記すべきことは、助成金にとらわれず、企業と訓練生にとって訓練実施に無理のない時間数と高い訓練成果が得られる多角的で細部にわたる訓練カリキュラムと評価シートを作成したということであると考えています。
 1回目の本社工場では5人の訓練生を対象として実施し、そのうち4人が正社員となり、2回目の関東那須工場では1人の訓練生を対象として実施し、正社員化に成功しました。
 家庭の事情などで残念ながら退社し、転居した本社工場の訓練生からは、「食品衛生管理講習会に参加させてもらったお蔭で、自信を持って食品関係の製造業に応募できるし、将来は飲食店も開業できるかもしれません」と笑顔で退社したとの話を伺って、フリーター的な生活を継続し、過ごして来た方に対して、これから自信をもって働く意欲をもたせることができたと感じています。
 また、関東那須工場の訓練生からは、「これまでは不安定な仕事を多くしてきましたが、今回、充実した教育訓練を受けることができたばかりか、正社員になることができて家族一同が感謝しています」との感激の電話を頂戴し、ジョブ・カード制度の重要性と成果の大きさを今更ながら実感しました。

(平成24年10月現在)

有期実習型訓練の概要

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有期実習型訓練の概要