企業から寄せられた声(文字情報)

NPO法人 いろりの家

会社概要

所在地: 山口県岩国市
業種: 医療・福祉
資本金: なし
従業員数: 35人

訓練概要

訓練コース: 新規開業予定の介護施設職員育成コース
職種: 介護職員
訓練生数: 7人(終了後に全員を正社員採用)
期間: 平成21年10月~22年1月
訓練種別: 有期実習型訓練(基本型)

1.制度の活用に取り組んだ目的

NPO法人 いろりの家
「NPO法人 いろりの家」の全景

 当法人は、認知症の高齢者に対し、認知症対応型共同生活のもと、入浴や排泄、食事などの介護やその他の日常生活上の世話および機能訓練など、地域に根差した介護サービスを行い、地域の人々が健やかに暮らせる地域づくりと福祉の増進に寄与することを目指しています。
 有期実習型訓練との出会いは、岩国商工会議所に設置されている山口県ジョブ・カードサポートセンター岩国の制度普及推進員の方が、当法人を訪問したのがきっかけでした。
 その際は、「人財育成・確保に苦労されている介護サービス業界に対し、活動奨励・支援したいので、ホームヘルパー2級講座の研修カリキュラムの内容を教えてもらえないか」と依頼されました。併せて、パート社員の訓練にも活用できるとの説明を受けましたので、その場で2人を対象とした有期実習型訓練(キャリア・アップ型)に対する支援をお願いしました。

2.具体的な取組内容

 当法人では、前記のとおり、有期実習型訓練(キャリア・アップ型)を実施(平成21年)したことによって、ジョブ・カード制度の有効性を知っていましたので、2カ所目のグループホーム「だんろの家」の新設に当たっては、基本型の有期実習型訓練(新規正社員採用)で求人募集することにしました。
 当初は、介護の経験者をハローワークで求人募集しましたが、応募者が1人もありませんでした。このため、地元新聞の折込チラシを活用し、「未経験者・無資格者を優先的に採用します」と表記して改めて募集したところ、8人の応募がありました。このうち、ハローワークでキャリア・コンサルティングを受けてジョブ・カードを交付された19歳から52歳までの7人と面接し、7人全員を訓練生として受け入れました。
 Off-JTでは、この7人の訓練生専用の「ホームヘルパー2級講座」(当法人が主催)を開設しました。また、JTは、既設のもう1つのグループホームでの介護実習をマンツーマンで実施しました。
 評価シートの作成に当たっては、介護施設で長く働いて定着してもらうため、道標となるように、介護福祉士の有資格者レベルでないとA評価が難しい項目も敢えて組み入れました。訓練開始日のオリエンテーション時には事前自己評価を行わせ、A評価は5点、B評価は3点、C評価は1点とし、訓練前の自己総合点を把握させるとともに、3カ月後の改善目標数値を決定しました。さらに、中間評価では検証・反省・改善のポイントを把握させ、最終評価で達成度を確認させたうえ、企業側の評価と合わせた客観的な数値を活用して、正社員採用の可否を決定することを訓練生全員に周知徹底して実施しました。
 その結果、7人全員が目標とした数値を達成したことから、正社員として採用することができました。

3.阻害要因とそれを乗り越えるための工夫

NPO法人 いろりの家
7人の訓練生と2人の指導者(後方の男性)

 7人の訓練生は、全員が介護の未経験者であり、無資格者でした。このため、訓練の当初は、「3カ月の訓練終了後に、本当に正社員として採用してもらえるのか」と半信半疑だったと思いますが、この夢のような有期実習型訓練に参加するチャンスを掴んだ自分の幸運に感謝し、全力で取り組んでくれました。
 幸いにも、新しい施設は建設中だったので、入居者がいないために世話する必要がなかったことから、訓練生は勤務時間の全てをOJTとOff-JTの訓練時間に充当できました。OJTでは、ホームヘルパー2級講座の復習と予習の時間を十分に確保し、ジョブ・カード制度のねらいである「Off-JT⇔OJT」の繰り返しで学習させました。、その過程で分からないことは、その日のうちに、他の訓練生や指導者に教えてもらうように指導しましたので、協同体制を確立できました。
 また、小さい子供がいる訓練生もいましたので、急な用事がある場合や7人全員を対象として同時にOJTを実施した場合は、施設を利用されている方が戸惑われるなどの問題が発生することが懸念されました。このため、訓練生を2班に分けたうえ、休日も2つのパターンを設けたことから、訓練生同士の融通がきく訓練スケジュールを構築できましたので、OJTを効率的に実施できました。
 介護施設では、指導者が夜勤勤務の場合は、訓練日誌にサインできません。このため、職員の中から複数の指導者を指名し、当日出勤した指導者がサインするように周知徹底しました。
 さらに、助成金の申請の煩雑さは、ある程度覚悟していましたが、山口県ジョブ・カードサポートセンター岩国の制度普及推進員の方のきめ細かな支援により、訓練実施計画の作成や申請手続きがスムーズに進みました。

4.制度の活用による具体的な効果

NPO法人 いろりの家
地域交流センター「ひだまりの家」

(1)指導した職員と訓練生の間には師弟関係が生まれ、他の事業所とは一味違った人間関係が築かれたと思います。訓練が終了した後も、自分が指導した訓練生が現場でどんどん成長していく様子を目のあたりにしますので、お互いが競い合うように業務に励んでいます。

(2)経営理念などを一から指導できたことは、厳しい業務を乗り越えていくための原動力になったと思います。

(3)特筆すべきこととしては、訓練の終了から3年経過しましたが、1人も退職することなく、7人全員が現在も就労していることです。

(4)介護福祉士の国家試験の受験資格は、平成27年1月の試験から、現行の「介護の実務経験3年以上」との要件に「養成機関で6カ月・450時間の受講者」という要件が追加されることは、介護施設にとっては死活問題です。授業料が70万円~80万円かかる養成機関での6カ月・450時間の講座に職員を派遣することは、不可能です。当法人では、有期実習型訓練をこれまでに計4回(訓練生:10人)実施する課程で、「最終目標=この訓練生全員を平成25年1月の国家試験に合格させる」ことと決めて活動してきました(このうち、1人は平成24年1月に合格)。

(5)現在、「平成25年1月に実務経験が3年以上になる7人(今回の訓練を終了して正社員採用した方)」と「現在実施しているキャリア・アップ型訓練(平成24年9月~25年1月)の訓練生:2人」の合計9人が合格を目指して、介護福祉士受験前講座(平成24年9月~12月)を受講中ですので、当法人では、受験資格の要件が追加される「平成27年問題」を何とかクリアできそうです。

(6)山口県健康福祉部の福祉サービス第三者評価でも、この取り組みは、職員の付加価値の向上を図っていると高く評価されました。

(7)副次的な効果としては、「介護福祉士/総職員数」の比率が50%を超えれば、介護報酬も増加します。職員の努力で得た介護報酬を還元することによって、懸案の「職員の給料のアップ」を実現できそうです。

(8)有期実習型訓練を実施したことで「人材確保・定着化・人材育成システム」が完成しましたので、長年の夢であった地域の人々が健やかに暮らせる地域づくりの基盤となる地域交流センター「ひだまりの家」を平成24年3月にオープンできました。地区のお年寄りが三々五々集まってお茶を飲んだり、おしゃべりしたりの気ままなサロンです。また、岩国市の委託事業として、保護者が不在の家庭の子供たちの「放課後児童教室」も始めました。今後は、高齢者サロンへの参加者と子供たちとの交流を図り、皆で子育て支援していきたいと考えています。

 最後に、平成27年問題は、平成26年1月の国家試験まで免除されますので、もう1年チャンスがあります。成長分野に指定されている「介護サービス業における人材確保・定着化・人材育成」に潜在する真の問題点の解決手段として、有期実習型訓練が広く活用されるよう祈念しています。

(平成24年10月現在)

有期実習型訓練の概要

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有期実習型訓練の概要