企業から寄せられた声(文字情報)

株式会社エム・ジェイ

会社概要

所在地: 長野県上田市
業種: 生活関連サービス・娯楽業
資本金: 1,000万円
従業員数: 350人
URL: http://mj-k.jp/

訓練概要

訓練コース: 清掃基礎・管理業務成コース
職種: ビル清掃員
訓練生数: 4人(終了後に2人を正社員採用)
期間: 平成24年2月~5月
訓練種別: 有期実習型訓練(キャリア・アップ型)

1.制度の活用に取り組んだ目的

株式会社エム・ジェイ
長野県上田市にある本社の全景

 当社は、平成5年4月に創業した清掃業の会社です。平成7年に有限会社として法人化し、平成12年に株式会社に組織変更、その後、業務の拡大に伴って、伊勢崎市(群馬県)と所沢市(埼玉県)、宇都宮市(栃木県)の3カ所に事業所を開設しました。
 創業以来、「日々、お客様や周りの方々への『感謝』の気持ちを忘れず邁進してまいります」ということをモットーにして、「感謝」を社訓として定め、店舗や公共施設、ホテル、病院、各事業所などの常駐清掃と定期清掃を中心に、住宅やアパート、マンションなどの建物引き渡し清掃や各種のエアコンクリーニングなどの業務に取り組んでいます。
 創業者(現会長)の「従業員は、会社の財産であると同時に、社会の財産でもある」という考えのもと、縁あって当社と関わりをもった従業員に対しては、社会人としての基礎をしっかりと学び、きちんと挨拶ができ、社訓である「感謝」の気持ちを忘れない職業人になってもらうことによって、たとえ当社を離れることになったとしても、他社でしっかりと働いてもらえれば、それが社会貢献に繋がると信じ、これまでも社員教育に力を注いできました。
 平成20年11月には、パートやアルバイトの非正規の従業員の正社員化を視野に入れ、「人間性の向上と技能の向上を目指して」をスローガンとして、「社内マイスター制度」を制定しました。この制度の制定に当たっては、従業員の職能階級に応じて達成すべき事項を明文化し、トレーニング項目や評価項目をとりまとめました。
 そこで、平成22年からこの制度の実際の運用を始めようとしていたところ、たまたま別件で当社を訪問した上田商工会議所の長野県地域ジョブ・カードサポートセンターの制度普及推進員の方と話す機会がありましたので、そのときに初めてジョブ・カード制度の有期実習型訓練のことを知りました。
 その後、この制度普及推進員の方から、有期実習型訓練についての詳しい説明を受けたところ、当社の社内マイスター制度と基本理念が合致すると確信しました。このため、正社員を目指す非正規の従業員を対象としたキャリア・アップ型の有期実習型訓練の実施を決断し、これまで2回(1回目は、平成22年11月~23年2月)にわたって活用しています。

2.具体的な取組内容

株式会社エム・ジェイ
Off-JTの実施風景 (講義)

 有期実習型訓練の実施に当たっては、当社の社内マイスター制度のトレーニング項目をベースとして、前述の制度普及推進員の方からのアドバイスをもらいながら、訓練カリキュラムを作成しました。訓練時間の配分は、清掃作業を実施する現場での実践的な業務を中心として、8割近くをOJTに割り当てました。
 また、訓練の開始から終了までの間は、予備日を含めた全ての日程についての訓練の実施時間までを含めた綿密な実施計画を立てたうえ、訓練の実施状況を随時把握できるように、当社オリジナルの訓練シート(訓練日誌)も作成しました。この訓練シートには、それぞれの訓練科目ごとに訓練の実施日や実施時間、トレーニング項目(学習内容)を予め記入しておき、訓練生自身にとっても、訓練の全体の流れや「いつ」「どのような」内容について学習するかを理解させたうえ、安心して訓練に取り組めるように工夫しました。
 実際の訓練では、訓練生1人に対して先輩格の従業員1人を「育て親(トレーナー)」として割り当てたうえ、訓練の最初から最後まで責任を持って教育するシステムにしました。育て親の役割を担う従業員に対しては、仕事上の問題点はもちろん、訓練生のプライベートに関わることについても積極的に相談に対応させるなど、訓練期間中は、訓練生と良好な人間関係を築くように指導しました。

(1)OJT(実習)
 育て親の役割を担う従業員が中心となって、清掃器具の取り扱い方から実際の清掃作業の方法、手順などについては、実際に清掃作業を行う現場でのグループ作業を通して学ぶカリキュラムとしました。

(2)Off-JT(座学)
 主に役員が講師を務め、一部については外部講師を活用した接遇マナーなどの接客に関する内容や車両運行などの安全管理に関する内容、特殊洗剤などに関する内容について学ぶカリキュラムとしました。
 特に外部講師の活用については、1回目の訓練で非常に有用であったために、2回目の訓練でも積極的に取り入れました。

3.阻害要因とそれを乗り越えるための工夫

 一番難しかったのは、訓練生の勤務シフトを組むことでした。Off-JTの実施時間を確保するために、その時間帯で作業する現場では、他の従業員を割り当てなければなりませんでした。1回目の訓練では、半数が所沢市の埼玉事業所に所属する夜勤の訓練生でしたので、上田市の本社で実施する日中の講義に参加できるように、訓練の前日までに勤務時間を調整する必要がありましたので、全社的なスケジュール調整には大変苦労しました。
 また、従業員のシフト組みについては、社内報などを通じて事前に全ての従業員に周知したところ、他の従業員の協力を得られましたので、何とか乗り切ることができました。
 次に苦労したのは、OJTを実施する場所に関することです。当社の従業員が清掃作業を行う現場は、お客様の店舗や事業所などになりますので、OJTの実施には、お客様の理解と協力が不可欠でした。実際の清掃作業をしながらの訓練となると、通常の作業時間よりも余計に時間がかかってしまいますが、お客様に社内教育の主旨や必要性について理解してもらえるように働きかけたところ、了承をもらうことがきました。このように、お客様の了承を得られたのは、日頃の業務を通じたお客様との信頼関係に基づくものだと思っています。こうしたお客様の信頼に応えるために、今後も日々のサービスの向上に努めていくことにしています。
 また、訓練の実施前に受けさせたキャリア・コンサルティングでは、上田市の本社所属の訓練生は、長野県地域ジョブ・カードサポートセンターの2人の制度普及推進員の方々にお願いすることができました。しかし、所沢市の埼玉事業所に所属する訓練生については、訓練の実施前に本社まで来させることができませんでしたので、長野県地域ジョブ・カードサポートセンターの制度普及推進員の方を通じて、埼玉県商工会議所連合会に設置されている埼玉県地域ジョブ・カードセンターの制度普及推進員の方にお願いしました。キャリア・コンサルティングのための日程調整から、ジョブ・カードの作成のレクチャーまで、埼玉県地域ジョブ・カードセンターの制度普及推進員の方の協力がありましたので、訓練の開始までに無事、訓練生全員のジョブ・カードを交付することができました。

4.制度の活用による具体的な効果

 これまでに2回の有期実習型訓練を実施したことによって得られた効果は、以下のとおりです。

(1)社内教育システムの確立
 有期実習型訓練を終了する都度、実施した訓練科目によってどれくらいの効果があったのかを検証し、社内マイスター制度のトレーニング項目や内容を見直して、この制度の改定を重ねてきました。その結果、新規採用者に対する「パート・アルバイト向け100時間トレーニング」と「正社員志望者向け444時間トレーニング」という2つのコースの社内教育訓練システムを確立できました。
 特に、有期実習型訓練を実施してOff-JTの有用性を実感できましたので、当初は想定していなかったOff-JTの教科を前述の2つのトレーニングに導入できました。

(2)社内教育ツールの拡充
 訓練の実施前に作成した当社のオリジナル訓練シートをベースにして、どのような項目が記載されていればより使いやすいのかを検証し、それぞれの訓練項目ごとに学習内容と習得状況のチェックリストをとりまとめた「トレーニングテキスト」を作成しました。このトレーニングテキストには、社内の教育訓練体系図も入っており、新人や一般、リーダー、責任者の各階級の従業員には、どのような能力が求められているかが明記されているために、従業員のステップ・アップのための努力目標が明確になりました。

(3)訓練生の業務に取り組む姿勢の変化
 従来の社内教育では、清掃作業の現場でのOJTが中心でしたが、有期実習型訓練でOff-JTを取り入れたことによって、それぞれの清掃作業の意味や必要性を明確に理解できるようにさせましたので、実務での清掃作業の能率が向上しました。また、従業員のスキルアップに対する意識も強まりましたので、新しい知識や技術の習得に対する意欲が向上したと思います。

(4)教育訓練費用の軽減
 これまでに実施してきた社内教育では、役員や先輩の従業員が指導役を務めましたが、外部講師による講義では、一定の緊張感がありましたので、同じ時間を費やしても教育効果が高かったと感じています。この場合、費用面での負担がありましたので、通常の社内教育ではなかなか外部講師を活用するところまでできないのが実状でした。ジョブ・カード制度の有期実習型訓練では、国からのOff-JTに対する経費助成があったことから、積極的に外部講師を招いた講義を実施できましたので、非常に助かりました。


【事務局後記】
この原稿は、平成24年3月5日に発行した上田商工会議所の「会報」への掲載記事の内容に加え、別途実施した(株)エム・ジェイの代表取締役会長・喜多友一氏と代表取締役社長・金井満氏、相談役・藤山昇氏の3人の方々に対するインタビューの内容を元にして作成したものです。

(平成25年2月現在)

有期実習型訓練の概要

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