企業から寄せられた声(文字情報)

有限会社あっとホーム

会社概要

所在地: 熊本県玉名市
業種: 医療・福祉
資本金: 300万円
従業員数: 21人

訓練概要

訓練コース: 通所介護員正社員化コース
職種: 介護職員
訓練生数: 1人(終了後に正社員採用)
期間: 平成24年9月~25年1月
訓練種別: 有期実習型訓練(キャリア・アップ型)

1.制度の活用に取り組んだ目的

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熊本県玉名市にある事業所の全景

 当社では、熊本県の北部地域にある玉名市を中心に、訪問介護事業(ホームヘルパー)と居宅介護支援(ケアプラン作成)、介護保険適用の住宅改修の3つの事業を平成19年1月に立ち上げました。その後、平成22年6月には、通所介護(デイサービス)事業を追加し、さらに平成25年度には、サービス付き高齢者住宅を開設する予定です。
 これまでは、地域からの多くの要望にできるだけ応えられるように、スピード感を持って事業を展開してきました。事業を拡大するためには、当然ながら、スタッフも増やしてきましたが、日々の業務に追われる状況下では、実務を遂行しながらスタッフに覚えてもらうしかないために、人材育成がなかなか進まないと実感していました。
 そのような折、知り合いの社会保険労務士の先生からの情報で、ジョブ・カード制度の有期実習型訓練の存在を知りました。後日、熊本商工会議所の熊本県地域ジョブ・カードセンターを訪問し、制度普及推進員の方から詳しい説明を聞きました。
人材育成に係る期間と費用については、常々、「どうにかならないものか」と思っていましたので、早速、有期実習型訓練の具体的な活用策について社内で検討しました。その結果、上位職にあたるサービス提供責任者を養成するためのコースを考えました。しかし、講師を務められる社内の人材が限られていることに加え、周囲のスタッフの負担も大きくなるため、講師を比較的多く確保できるデイサービス担当の有期契約社員を教育訓練し、正社員化するコースを実施することにしました。
 そこで、スタッフの中から人選した有期契約社員に対し、この話をしたところ、本人も有期実習型訓練の内容に興味を示し、「受講したい」という意志を確認できましたので、スキルアップと正社員化を目標にしてスタッフが全員で取り組むことに決定しました。しかし、当社では、有期実習型訓練を実施するのは初めての経験であり、実施するための手続きや申請書類の作成方法、有期実習型訓練の実際の実施方法などが分かりませんでしたので、いろいろと不安がある中でのチャレンジでした。

2.具体的な取組内容

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OJTの実施風景

 Off-JTの講師は、代表である私と看護師、介護福祉士の資格を持つ管理者、生活相談員の3人の介護業務のベテランのスタッフで分担しました。
 訓練カリキュラムには職業能力基礎講習に加え、特に習得を必須としたパソコンの知識・技能の講義に時間を多く配分(28時間)しました。また、外部講習は、ホームヘルパー資格よりも上位の資格を取得させることを念頭に置きましたので、費用はかかりましたが、専門的な介護労働安定センターの介護職員基礎研修を受講させました。
 訓練生も講師も、当初は進め方に戸惑いがありましたが、熊本県地域ジョブ・カードセンターの制度普及推進員の方のアドバイスを受けて事前に作成した日々のスケジュール表に沿って進めていくうちに、次第に訓練するパターンに慣れてきましたので、円滑に実施できるようになりました。
 とにかく面倒ではありましたが、この細かいスケジュール表の作成が有期実習型訓練の完遂のポイントだったと思います。パソコンの実技は、2時間ずつの学習を重ねさせながら、OJTで実務を習得させるように繰り返して行いましたので、スキルアップに繋がったと思います。また、OJTでは、ベテランのスタッフからの指導や助言を日々受けながら、トラブルや疑義については、訓練日誌を通じて問題点や悩み事を蓄積することなく、速やかに解消できるようになりました。
 本人が常に評価シートの評価項目を意識するように訓練生を指導し、日々の業務の中でできなかったことをチェックしておきました。そして、職業能力の評価時には、訓練生側の自己反省点や訓練生と評価者の評価のズレについて意見交換したことによって、訓練生本人のスキルアップや評価者との信頼関係の構築にも役立ったと思います。

3.阻害要因とそれを乗り越えるための工夫

 まずは、熊本労働局への申請の手続きでした。熊本県地域ジョブ・カードセンターの制度普及推進員の方の詳細な説明を聞いて、「面倒」「複雑」との印象を受けましたが、この制度普及推進員の方の指導と支援がありましたので、進める意志を固めました。特に、当社のような小規模な事業所にとっては、助成金の制度はありがたいのですが、申請書類や添付書類などを減らすなど、もう少し活用する企業側の気持ちになってほしいと思います。
 スタッフの人数が少ないデイサービス事業所ですので、内部でのOff-JTの時には、講師と訓練生の2人が現場から抜けることになります。このため、有期実習型訓練を実施することの意義についてスタッフの全員に説明したところ、理解してもらえましたので、スタッフ全員でのバックアップ体制を整えることができました。また、スタッフ相互の信頼関係も築くことができましたので、周辺のスタッフの能力のアップにも役立ったと思います。

4.制度の活用による具体的な効果

 有期実習型訓練の開始当初は、Off-JTの教育内容のまとめや写真の撮影、訓練生本人の訓練日誌への書き込みと講師のチェックなど、やや戸惑いはあったものの、すぐに慣習化できましたので、比較的円滑に終了することができました。
 今回の有期実習型訓練の実施を通じ、訓練生である有期契約社員は、介護保険制度などの専門的な知識がしっかりと身に付きましたので、関係機関などとの対話や交渉を自信を持ってできるようになりました。また、少し苦手だったパソコンの操作も、Off-JTで基礎学習し、実践することを繰り返したことにより、現在では、パソコンでの作業を率先してできるようになりました。
 周囲のスタッフに負担をかけていることも、訓練生本人は相当な重圧だったと思います。それを無駄にしないためにも、正社員になるためにはしっかりと訓練を受け、自分の職業能力を向上させていかなければならないという状況が自分の役割と立場を理解させ、当社の一員としての責任感を身に付けさせたと思います。
 また、講師を務めたスタッフも、教える内容については、事前の予習や教材の読み込みなどをせざるを得ませんでした。このため、講師自身の能力の向上に加え、教えることの難しさも経験できましたので、指導力の向上にも大きな収穫物となりました。
 今回の有期実習型訓練を終了し、スタッフの間には、「自分も次の段階にスキルアップしたい」という空気が漂い出しています。確かに、キッチリと時間を区切って訓練するのは大変でした。加えて、訓練カリキュラムや評価項目を作成するのも面倒でした。しかし、当社としては、これまで全く教育してこなかった訳ではなく、誰かが入社するたびに、その都度、臨機応変にバラバラの内容を少しずつ教えていたのが実情でした。
 今回の有期実習型訓練を実施した経験を踏まえ、職種ごとやランクごとに教えておかなければならないことを整理し、キチンと画一的に訓練することによって、高効率のスキルの習得、教育期間の短縮、習熟度のチェック、フォローができることなど、多くのメリットを得たと実感しました。「実践して、初めて教育訓練の本当の価値を理解できた」ような気がします。今後は、他の職種についても、訓練カリキュラムの内容と評価項目のレベルの整理を進め、当社の発展のために、前向きな有期実習型訓練の活用を考えていきたいと思います。

(平成25年3月現在)

有期実習型訓練の概要

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