企業から寄せられた声(文字情報)

NPO法人あすなろの会

会社概要

所在地: 山形県米沢市
業種: 医療・福祉
資本金: なし
従業員数: 90人
URL: http://asunaro-g.or.jp

訓練概要

訓練コース: 施設介護コース
職種: 介護職員
訓練生数: 1人(終了後に正社員採用)
期間: 平成24年11月~25年3月
訓練種別: 有期実習型訓練(キャリア・アップ型)

1.制度の活用に取り組んだ目的

NPO法人あすなろの会
Off-JTの実施風景

 当会では、平成9年1月に行った民間のボランティアサービスの介護施設「ケアホームあすなろ」の開設から始まり、平成11年7月にはNPO(特定非営利活動法人)格の認可を受け、平成12年4月の介護保険制度の施行とともに、介護保険サービス事業をスタートさせました。
 もともとは、地域の高齢者の生活をサポートするために、少人数でスタートした当会でしたが、介護保険サービス事業の拡充に伴って、主にハローワークで募集する方法で人材を確保してきました。しかし、介護保険制度自体は施行から年数が浅いこともありましたので、この業界では未経験者が多いのが実情でした。このため、採用した後は、通常の業務を行わせながら、人材育成のための教育を実践の場で実施し、専門的な知識や技術を習得させる機会は、外部の教育訓練機関に頼らざるを得ない状況でした。
 しかしながら、介護保険サービス事業では、業務の専門性の高まりに加え、ヒューマンスキルの向上も重要な要素です。近年では、このような育成項目にも力を入れており、研修の機会を含めて人材の育成体制の再構築について検討していました。
 そのような折、ジョブ・カード制度の有期実習型訓練のキャリア・アップ型についての話を聞く機会がありました。平成23年の3月から6月までの間には、有期実習型訓練の基本型を初めて実施し、訓練生1人を正社員として採用したことがあったのですが、米沢商工会議所の山形県地域ジョブ・カードサポートセンターの企業開拓推進員の方から、非正規の有期契約社員を正社員に転換するための有期実習型訓練のキャリア・アップ型があることについての説明を受けました。
 その説明によると、社内では、専門的な知識や技術の向上を図ることができるとともに、社外では、講師の方々にサポートしてもらいながら、非正規の有期契約社員の資質を向上させる訓練を実施できることが分かりました。このように、非正規の有期契約社員の資質向上に着目した訓練の内容に魅力を感じましたので、早速、有期実習型訓練のキャリア・アップ型を活用することにしました。

2.具体的な取組内容

 前述したように、今回で2回目の活用となりますが、1回目は、以下のような理由から、有期実習型訓練の基本型を活用しました。

(1)当社では、社内でも人材育成に取り組んでいましたが、専門分野以外の研修には限界がありましたので、結果としては、社員の定着がおもわしくありませんでした。

(2)このような状況のもと、山形県地域ジョブ・カードセンターの訓練コーディネーターの方から紹介された外部の教育訓練機関の方から、メンタルマネジメントの重要性についての説明を受けましたので、参加させてみました。その結果、この外部研修に参加した訓練生は、現在では正社員として勤務しており、そのとき教わったメンタルトレーニングを行っているようです。

(3)通常、企業としては、専門的なことを中心に研修するわけですが、そこに「心」が伴わないと、鬱といった病気になったりするのだと思います。当会の仕事は、まさに「心」の葛藤がつきものです。従って、社内でも「心」に焦点を当てた人材の育成の必要性を感じたことから、有期実習型訓練の基本型を活用しました。

 今回の有期実習型訓練(キャリア・アップ型)の訓練生(1人)は、非正規の有期契約社員の中から、「今後、管理者まで育ってほしい人」という観点で選定しました。本人に説明したところ、「喜んで訓練生になりたい」ということでしたので、非正規の有期契約社員の意識付けにも有効でした。
 OJT(312時間)では、施設介護業務としての入浴介助から排泄介助など、介護の全般的な業務と報告文書の作成などの訓練を行い、訓練生が所属する施設の管理者を含めた5人が講師となって指導しました。
 また、社内で実施したOff-JT(56時間)では、施設の管理者1人が講師を務め、介護に係る専門的な研修を実施し、介護業界の現状やサービスのあり方、医学に係る基礎知識の習得を目指しました。
 社外でのOff-JT(42時間)では、山形県地域ジョブ・カードサポートセンターの訓練コーディネーターの方からの紹介により、人材育成専門機関が実施している研修に参加させました。今回で2度目の参加となりましたが、この研修の特徴は、人間基礎力を高めるために、仕事力の養成と同時に折れない心をつくるカリキュラム構成となっていましたので、社員の定着に高い効果があったと思います。
 この外部研修の概要は、次のとおりです。

(1)自己認識力やコミュニケーション力の養成のための研修

(2)ビジネスマナーからホスピタリティといった人間関係を築くための研修

(3)自分を支えるメンタルトレーニング(折れないこころづくり)

(4)仕事のやり方や考え方の一般研修などを通じた動機づけ

3.阻害要因とそれを乗り越えるための工夫

 有期実習型訓練の活用を決めたときの当会では、一定期間の研修を行う訓練カリキュラムが構築されていませんでした。このため、訓練の担当者が当会の業務内容を踏まえた
 訓練カリキュラムの草案を作成したことによって、長期的な訓練カリキュラムをイメージしながら、訓練を進行することができました。
 また、申請書類の作成などでは、訓練の担当者に主体的に取り組んでもらいましたので、必要最少限の申請業務で進めることができました。
 特に、山形県地域ジョブ・カードサポートセンターの訓練コーディネーターの方には、訓練カリキュラムの作成から山形労働局に申請書類を届け出るまで、全面的にサポートしてもらいました。これは、当会の社員だけで実施することは無理だったと思いましたので、非常に助かりました。また、外部の教育訓練機関との間との折衝にも積極的に関わってもらいましたので、本当に力強い支援だったと思います。
 このように、有期実習型訓練について子細なことでも随時相談でき、包括的に管理してもらえる体制でしたので、当会での事務負担は軽減され、充実した訓練になったと実感しています。また、一連の訓練カリキュラムを経験し、当会としても改めて訓練の講師や育成内容などの研修体制を見直す良い機会となりました。

4.制度の活用による具体的な効果

 ジョブ・カード制度の有期実習型訓練による最大の効果は、単に専門的な知識や技術の習得にとどまらず、訓練生の職務に対する意識の向上に繋がったことだと感じています。
 訓練生が自己の強みや弱み、特性を理解し、自己の目標を定める経験は、自分自身の役割や立場を意識できましたので、将来も大いに役立つものと思います。
 講師を務めた社員からは、「自分自身にとっても、大変良い機会になった」と聞いています。これは、訓練生に教えるために、自分自身の仕事に対する客観的な棚卸を必要としたからだと言います。また、「人は、放っておいても、勝手に育たない」ということも感じたようです。こうしたことは、経営者としても感じており、非常に勉強になったところです。
 一方、訓練生は、これまでの生き方や思い、価値観について感じることがあったようであり、「この仕事を一生の仕事にしていきます」と力強く宣言してくれましたので、経営者としては、非常に嬉しく思っています。人を雇うということは、その人の人生を預かるといった経営者としての自覚を再認識した次第です。これからも、社員を大切に育てていきながら、地域に必要とされる事業を展開していきたいと考えています。
 当会としてのこれまでの新入社員の育成策について振り返ると、業務内容に沿って教えるというような一方通行になっていたケースが多かったと思います。しかし、訓練カリキュラムを通じ、これから積み上げられる知識や技術を最大限に活かす社会人としての土台形成に重点を置いて人材育成を図っていくことこそが、経営基盤の強化にも繋がることを改めて認識しました。
 ジョブ・カード制度の有期実習型訓練は、人材を育てる視点だけでなく、組織が個人とともに育つ視点を持ち得たことは、当会としても大きな収穫でしたので、今後も、機会があれば活用したいと思います。

(平成25年4月現在)

有期実習型訓練の概要

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