企業から寄せられた声(文字情報)

小城製粉株式会社

会社概要

所在地: 鹿児島県薩摩川内市
業種: 製造業
資本金: 3,000万円
従業員数: 47人
URL: http://www2.ocn.ne.jp/~kojos/

訓練概要

訓練コース: 製粉業務人材養成コース
職種: 食品製造技術者
訓練生数: 2人(終了後に2人を正社員採用)
期間: 平成24年5月~8月
訓練種別: 有期実習型訓練(キャリア・アップ型)

1.制度の活用に取り組んだ目的

小城製粉株式会社
会社のロゴを入れた社屋の看板

 「祖父から父へ」「父から子へ」「こだわりの108年」。わが国の南端に位置する鹿児島県薩摩川内市にある「ちょっと一味変わった」素材本位の頑固な粉屋。これが当社です。
 当社では、いつの時代にも愛される「おいしさづくり」を目指して、和菓子の素材である上用粉をはじめ、上餅粉や寒梅粉、きな粉、かるかん粉などを製造し、全国に販売しています。
 このうち、当社の主力商品である米を原料とした米穀粉については、精米や洗米、乾燥米に独自の科学的な要素を取り入れた技術を開発して多種用途の上用粉や上餅粉を製造し、昭和45年から製造を始めた寒梅粉を加えると、多彩なバリエーションとなりましたので、お客様に広く喜んでもらっています。
 また、鹿児島県の代表的な銘菓「かるかん」の製造に欠かせない山芋の加工や保存についても、研究に研究を重ねて「糖入り冷凍丸芋」を開発しました。薩摩川内の土地で育てられた山芋は、良質の供給源として広く利用されており、かるかんの通年製造を可能にするとともに、地域の農業の振興にも一役買っています。
 さらに、製粉工場の敷地内には歴史を辿れば大正という「のせ菓楽(開設:大正5年)」があり、当社の製菓部としてお菓子の製造販売を行っています。
 ここでは、製粉工場で製造した米穀粉などの品質チェックやこれらを原料とした新しいお菓子(米穀粉洋菓子)の開発なども行っています。特に、原料素材である製粉から、お菓子の試作、製造までを社内で行い、その結果は、「こだわりの製粉」技術の開発にもフィードバックさせています。
 このような「こだわりの製粉」は、社長や一部の社員だけの力で実現できるものではありません。全ての社員が同じ目線をもち、その目標に向かって共に邁進していくことが不可欠です。こうした意味では、経験豊かな社員に恵まれており、当社はこうした社員に支えられてきましたが、将来のことを考えて、外部から新たに人材を求めることにしました。
 そこで、製粉部門で2人、管理部門で1人をそれぞれ契約社員として中途採用しました。しかし、製粉部門の2人に対しては、単なる技術や知識だけではなく、「こだわりの製粉」にかける当社の社風や経営方針をいかにして伝えたうえ、十分に理解してもらうかが課題でした。
 このようなときに、鹿児島商工会議所に設置されている鹿児島県地域ジョブ・カードセンターの制度普及推進員の方が当社を訪問し、ジョブ・カード制度の有期実習型訓練について紹介されました。
 この制度の詳細についての説明を聞いたところ、Off-JTとOJTを組み合わせた訓練カリキュラムに沿って実施する有期実習型訓練は、当社が考えていた中途採用の社員に対する研修にピッタリ合うと考えましたので、即座にこの訓練を取り入れることにしました。

2.具体的な取組内容

 製粉といっても、単に材料を製粉機に入れてスイッチを押せば良いというものではありません。お客様の求めに応じた「こだわりの製品」づくりのためには、原料である米の状態 (品種や産地、水分含有量など) や場内の湿度や温度の状態に応じ、精米や洗米、乾燥、製粉の工程ごとに微妙な調整が必要です。このため、それぞれの工程では、職人的な「技」が求められます。
 短期間の訓練では、これらの「技」の全てを身に付けることは到底できません。このため、今回実施した有期実習型訓練では、

(1)米穀粉の製造には、「永年の経験や技の裏打ちが求められものであること」

そして、

(2)「その技の習得は、一朝一夕に達成できるものではないこと」

を理解したうえ、

(3)「将来にわたって経験を積み、これらの技を積極的に自分のものにしていこうという気概の醸成」

を目標に据え、製粉業務に必要な基礎的な知識を習得してもらうために、Off-JTには、次ののようなカリキュラムを設定しました。

(1)食品の製造に関わる業務であることから、食品衛生や食の安全などに関する基礎的な知識。

(2)製粉現場での安全および事故防止の観点からの安全衛生に関する知識。

(3)原材料である米などの特性と米穀粉などの製品の用途や保存管理などに関する基礎的な知識。

(4)米穀粉の利用のされ方を体験するために行う米菓子の製造実技 (工場敷地内の「のせ菓楽」で実施)。

 約3カ月間と短期間でしたが、これらのOff-JTにOJTを加え、全体では220時間の訓練カリキュラムとしました。

3.阻害要因とそれを乗り越えるための工夫

 鹿児島県地域ジョブ・カードセンターの制度普及推進員の方から有期実習型訓練について紹介されたことを受けて、即座に活用することにしたのですが、訓練実施計画を作成するための検討段階で最も悩んだことは、社内講師の選定についてでした。
 私どものような中小企業の場合は、訓練を担当する専任の社員がいるわけではありませんので、今回の有期実習型訓練を実施するための講師は、熟練した経験を有した現場の社員にお願いすることになります。
 しかしながら、いずれの社員も、それぞれ通常の業務を抱えていますので、時間的な余裕がありません。このため、担当している業務をやり繰りして講師を務めてもらう以外に方法はありません。特に、Off-JTを実施する場合の講師は、講義中はもちろんのこと、講義内容についての準備をする間も、自分の業務を全くできません。
 このため、Off-JTの実施に当たっては、講師を務めた社員の業務を他の社員がカバーしあう協力体制をつくることで解決を図りました。しかし、これにも限度があります。結果的には、今回の有期実習型訓練は、短期間のより基礎的な内容の訓練のみにとどめ、訓練生が将来にわたって経験を積み重ねていくための導入ステップとして位置づけることとしました。

4.制度の活用による具体的な効果

 今回の有期実習型訓練の実施によって、訓練生を一人前の社員として育て上げられたわけではありません。しかし、訓練カリキュラムに従った基礎的な内容の訓練を受けたことにより、当社での自分の位置づけや役割については、より明確に認識するとともに、社員の一人として、これから何を学び、何をすべきかについて感じ取ったようですので、それに向かう明確な目標をみつけることができたものと思います。
 それ以上に、講師の役割を担った社員は、自らの業務について改めて勉強し直しましたので、再確認できたと思います。加えて、有期実習型訓練の実施をバックアップした他の社員にも刺激を与えましたので、職場全体には、総じてこれまでとは違った新しい風の吹き込みを感じました。
 当社としては、今後の社員教育でも、このような経験を是非とも活かしていきたいと考えているところです。

(平成25年2月現在)

有期実習型訓練の概要

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有期実習型訓練の概要