企業から寄せられた声(文字情報)

株式会社アイシーエル

会社概要

所在地: 京都市下京区
業種: 企業研修・職業訓練・人材サービス
資本金: 1,000万円
従業員数: 40人
URL: http://www.icl-web.co.jp/

訓練概要

訓練コース: パソコンスクール講師育成コース
職種: パソコンの講師
訓練生数: 3人(終了後に1人を正社員採用)
期間: 平成25年7月~平成26年1月
訓練種別: 若者チャレンジ訓練(基本型)

1.制度の活用に取り組んだ目的

サブの講師となってのOJT
サブの講師となってのOJT

 当社は、昭和57年11月にアイシーランド洛西として創業しました。平成11年8月に㈱アイシーエルに社名を変更し、現在に至っています。一昨年には、お蔭様で創立30周年を迎えることができました。
 本社は、京都市四条烏丸の京都産業会館の2階にあります。資本金は1,000万円で、社員数は40人です。社員の8割は女性であり、出産と子育てをしながら長く活躍できるというのも、当社の特徴のひとつです。
 「人を育て、人と仕事を結ぶ」、つまり、当社は、人材育成から就職支援までをサポートする「総合人材サービス企業」です。事業部門は、企画営業部と公共事業部、教育部、就職支援部の4つで構成しています。
 当社の人材育成の歴史は、ワープロ専用機が全盛の時代であった昭和60年に遡ります。一太郎やロータス123をはじめ、その後に開発されたWindows3.0などを教えるパソコン・IT関連では、その草分けとしてのスクールを展開してきました。
 現在では、マイクロソフトオフィスなどのIT関連はもちろん、京都ジョブパークなどの公共事業と大学生に対する就職支援を実施しています。また、企業向けのサービスとしては、ビジネススキル全般の人材育成研修があります。当社には、社内講師のほかにも、他府県の在住者を含めて約100人の登録講師がいますので、企業の幅広いニーズに対応しながら人材育成を支援しています。
 今回、ジョブ・カード制度の若者チャレンジ訓練を実施したのは、求職者を対象にした職業訓練(公共職業訓練と求職者支援訓練)を実施している教育部でのパソコンの講師を育成するためでした。

2.具体的な取組内容

OJTの実施風景
OJTの実施風景

 当社で実施した若者チャレンジ訓練は、昨年の7月から本年1月末までの6カ月間にわたり、ハローワークで求人募集した3人の若年者を対象としました。
 この若者チャレンジ訓練を実施した経緯は、下記のようなことでした。
 人材育成のための講師の仕事は、「専門的な知識」と「教える技術」、加えて「コミュニケーション力」が必要となる職種ですので、当社では、これまでキャリア採用だけを行ってきました。これは、社会人としての経験がある人を雇用すれば、一定のコミュニケーション力は保障されると考えていたからです。しかし、専門的な知識と教える技術の2つについては、講師としての本人の適性が大きく影響しますので、雇用してから「ミスマッチだった」と気づくことがありました。
 このような状況のもと、若者チャレンジ訓練については、以前から、京都商工会議所の京都府地域ジョブ・カードセンターの制度普及推進員の方から聞いていましたが、京都労働局に対する申請の手続きや実施後の 事務処理が煩雑そうだという印象を持っていました。
 しかし、制度普及推進員の方の説明を改めて聞いたところ、申請書類の作成などをサポートしてもらえるとのことでした。加えて、訓練期間のOJTとOff-JTの実施を通じ、訓練生のパソコンの講師としての適性の有無を判断できるというメリットがあると思いましたので、実施することにしました。
 今回実施した若者チャレンジ訓練では、パソコンの講師に必要なスキルとして、「専門的な知識」「教える技術」「コミュニケーション力」の3つをポイントに訓練カリキュラムを作成しました。
 Off-JTでは、当社での企業研修のノウハウを活かし、3人の社員が訓練指導者を務め、①職業人教育と②ビジネスマナー、③個人情報教育、④パソコン教育、⑤インストラクション教育などを109時間にわたって社内で実施しました。当然ながら、仕事で必要となるパソコンについての専門的な知識が重要です。このため、WordとExcel、PowerPoint、Accessをはじめとするコンピュータ全般の知識を基礎から教えました。
 さらに、教える技術としてのインストラクション教育では、基本的なインストラクションの流れと指導方法、教材の準備方法などについて指導しました。3人の訓練生は、いずれも職業経験がありませんでしたので、ビジネスマナーと個人情報保護など、社会人としての基礎的な内容もOff-JTに含めました。
 特に力を入れたのは、電話の研修でした。当社は、研修会社ということもありますので、社員の電話への対応が重要です。訓練生とはいえ、電話に出る以上は、お客様から評価されるということを念頭に入れて、「もしもし検定(電話応対技能検定)3級」の合格レベルまでの内容で訓練を実施しました。
 知識だけではなく、電話の実技を含めた検定に合格したことによって、訓練生たちの自信につながり、積極的に電話に出るようになったということが成果といえます。
 また、671時間にわたって実施したOJTは、前述したOff-JTで学んだことを経験に変えるものです。このため、先輩の講師の指導のもと、月曜日から金曜日まで終日実施した公共職業訓練と求職者支援訓練のサブの講師としては、準備と受講生に対するサポート、事務処理などを任せました。例えサブの講師であっても、受講生を適切にサポートしたり、様々な質問に対応するためには、事前の学習が欠かせません。就業時間外の自分の時間を使って事前に学習することは、仕事を続けていくために必要なことです。
 さらに、ただ単にテキストの内容どおりにパソコンの操作方法を指導するだけではなく、トラブルや質問については、どれだけ想定して準備できるかがパソコンの講師としての適性といえます。ただし、事前に学習しても、対応できない質問やトラブルも、当然ながらあります。そのような場合は、メインの講師に相談し、対応方法を教えてもらうか、交代してもらうのですが、①分からないことを真摯に認める、②次回は、同じ場面に対応できるように、不足している知識を確実に補うことによって、本人の成長につながります。
 当社で実施している公共職業訓練と求職者支援訓練は、幅広い年齢層の方やいろいろな経験をもっている方が受講しています。このため、フォローのタイミングと質問の仕方、言葉遣いなどのコミュニケーション力が非常に重要となります。また、メインの講師への報告と連絡、相談は、欠かすことができません。日々、こうした経験を通じ、講師としての仕事の内容はもちろん、仕事の大変さも含め、パソコンの講師という職種についての理解が深まったのではないかと思います。

3.阻害要因とそれを乗り越えるための工夫

Off-JTの実施風景
Off-JTの実施風景

 京都労働局に提出する申請書類は、社内で作成しました。しかし、若者チャレンジ訓練を実施するのは初めてでしたので、必要なデータを提供してもらったり、申請書類の内容を確認してもらうなど、京都府地域ジョブ・カードセンターの制度普及推進員の方にサポートしてもらいましたので、スムーズに申請手続きを行うことができました。
 また、若者チャレンジ訓練をスムーズに実施するためには、訓練生との目標を共有することが重要だと考え、いろいろと検討しました。その結果、役立ったのは、評価シート(ジョブ・カード様式4)でした。
 3人の訓練生に対し、若者チャレンジ訓練を実施する前に評価シートを提示しましたので、当社が訓練生に身に付けてほしい技術と能力を明確に伝えることができました。この訓練では、訓練期間の中間と最後に職業能力を評価しなければなりません。このため、6カ月間にわたる訓練の3カ月間が経過した時点で、評価シートを活用して振り返りをさせました。このように、訓練の途中で職業能力を評価したことにより、訓練生は、3カ月間で自分自身が成長したことを感じたうえ、課題も明確になりましたので、残り3カ月間の訓練に対するモチベーションを高める効果がありました。

4.制度の活用による具体的な効果

 若者チャレンジ訓練の終了後は、評価シートを活用して職業能力を評価した結果、3人の訓練生のうち、1人を正社員として採用しました。下記は、その社員の働きぶりと訓練などについての感想をヒアリングしたものです。
 正社員となって2カ月目になりましたが、訓練の開始から現在までの8カ月間は、欠勤や遅刻は1回もありません。仕事は、サブの講師として公共職業訓練などの受講生に対してパソコンの操作を教えたり、朝礼で連絡事項を伝えているほか、受講生の出欠も確認しています。訓練期間に付けていたネームプレートの「初心者マーク」は、自分から取ってほしいと会社にお願いし、現在では、初心者マークを付けないで仕事に取り組んでいます。メインの講師としてWordの講習を4月に担当することが決まってからは、就業後も、先輩に質問したり、自主的に準備するなど、責任感とヤル気が増したように感じています。また、仕事以外でも、お昼の休憩時間には、皆でランチを食べながら楽しく談笑している姿もみられますので、職場でのコミュニケーションは円滑にとれているようです。
 この元訓練生に対して行った質問とそれに対する回答は、下記のとおりです。

(1)訓練期間で最も印象に残ったことは?
 OJTを初めて体験したときは、何も分からない状態でしたので、「どうしたらいいのだろう」と不安と緊張でいっぱいでした。また、サブの講師として担当した公共職業訓練が終了したときは、受講生のスキルが格段に向上していることと、自分のスキルも上がっていることが実感できました。立場は違いますが、一緒に頑張れて良かったと思いました。当社で実施している公共職業訓練などを修了した受講生を見送るときは、寂しさと就職に向けて応援したいという気持ちになりました。

(2)仕事以外で印象に残ったことは?
 最初は、上下関係が厳しい職場というイメージでしたが、皆で話をしながら楽しくお昼を食べたり、その日が誕生日の社員を朝礼でお祝いするのを見たときは、アットホームな会社だと感じました。さらに、祇園祭のときは、「ゆかたde講習」と題し、その日一日は全ての社員が浴衣を着て仕事をするという会社の恒例行事は、特に印象的でした。

(3)訓練で大変だったことは?
 立ちっぱなしで仕事をすることには慣れていませんでしたので、訓練中は、立っているのが大変でした。その他にも、公共職業訓練などに関連する様々な書類への記入方法とルールを覚えるために実施する講習の準備は、大変でした。
 また、公共職業訓練などの受講生に対するフォローの仕方と気配り、受講生との信頼関係の築き方は、現在でも考えることが多く、これは、今後の課題です。

(4)今後の目標は?
 1年後には、メインの講師として講習を進められるようになりたいと思っています。先輩からも、受講生からも、頼ってもらえるようになりたいです。そして、3年後には、講習の幅を広げて、WordとExcelだけではなく、データベースやWebなど、オールマイティな講師になるのが私の目標です。
このようなインタビューをして感じたことは、6カ月間の若者チャレンジ訓練の間に、パソコンの講師という仕事の華やかな部分だけではなく、「大変な部分」と「やりがい」も十分に理解し、今後の仕事として選んだことがよく分かりました。
 もちろん、4月からのメインの講師としてのデビューに向けての課題が多くありますので、3カ月間の講習を担当できるようになるためには、早くても2年はかかると思います。しかし、困難なことも知って選んだ仕事ですので、途中で投げ出すことなく、続けてくれるのではないかと期待しています。

 今回、ジョブ・カード制度の若者チャレンジ訓練を実施したことによって、国からの助成を受けて、「求める人材」を確実に雇用できましたので、会社側と働く側、双方にメリットがあったと感じています。
 当社では、今後も、会社の活性化につながる若年者の雇用を考えていますので、また活用したいと思っています。

(平成26年4月現在)

若者チャレンジ訓練の概要

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