企業から寄せられた声(文字情報)

ジャパンフィルター株式会社

会社概要

所在地: 東京都足立区
業種: 製造業
資本金: 1,000万円
従業員数: 12人
URL: http://www.japan-filter.co.jp/

訓練概要

訓練コース: フィルターの製造基礎コース
職種: 製造
訓練生数: 2人(終了後に正社員採用)
期間: 平成25年11月~平成26年2月
訓練種別: 有期実習型訓練(キャリア・アップ型)

1.制度の活用に取り組んだ目的

Off-JTの実施風景
Off-JTの実施風景

 当社は、昭和49(1974)年3月に設立し、今年で40周年を迎えました。現在の従業員数は12人であり、主に車輛や建設機械、電気機器などに使用される金属フィルターを製造しています。
 昨年の11月から3カ月間の有期実習型訓練を実施し、本年2月に終了しましたが、それ以前の社内は、以下のような状況にありました。

(1)社員の平均年齢は55歳であり、高齢化が進んでいるにもかかわらず、後に続く人間がいなかった。

(2)社員間のコミュニケーションがうまくとれていないので、情報の共有ができていなかった。

(3)自分の持ち場以外は、他人事という雰囲気だった。

(4)会社として現場が見えていないうえ、現場同士も見えていないために、縦も横もうまくつながっていなかった。

(5)社員を教育するためのマニュアルというものが存在しなかった。

 このようなことから、現場の高齢化への対応策と現場の見える化について検討していたところ、東京商工会議所の機関紙「東商新聞」でジョブ・カード制度の有期実習型訓練のことを知りました。
 この機関紙には、ジョブ・カード制度についての企業説明会の案内が掲載されていましたので、早速、参加の申し込みをしました。しかし、当社のような小規模な企業でも実施できるのかと、半ばあきらめていたこともあり、説明会の当日は、欠席しました。
 この説明会が終了してから数日後、東京商工会議所の東京都地域ジョブ・カードセンターの制度普及推進員の方から電話があり、当社の社長と役員を対象としたジョブ・カード制度についての説明をしてもらうことになりました。この説明の前は、前述したように、「当社のような小さな会社でも、実施できるだろうか」「当社の抱えている課題は、解決できるだろうか」との不安がありました。
 しかし、説明を聴いたところ、以下のような効果があることが見込めましたので、いいことづくめだと思いました。

(1)キャリア・コンサルティングを受けたモチベーションの高い人材を確保できるので、社員の高齢化への対応策になる。

(2)全社員で取り組むことによって、社員間のコミュニケーションがとれるので、情報の共有化を図れるとともに、自分の持ち場以外は他人事との考え方を解消できる。

(3)実施すべきことを凝縮したOff-JTのための教材(社内の教科書)を作成することによって、現場の見える化を実現できるとともに、統一された教え方を確立できる。

(4)国から支給される助成金によって、訓練生に支払う賃金やOff-JTに必要な教材の作成費などの経費負担を軽減できる。

 この説明の後には、全社員でディスカッションした結果、どの社員も当社の現状に対して問題意識をもっていたことが判明しましたので、「当社でも実施できるかも」と自信をもてたことから、有期実習型訓練に全社的に取り組むことにしました。

2.具体的な取組内容

OJTの実施風景
OJTの実施風景

 実施の決定から約10カ月間の準備期間を設けたうえ、当社で実施した有期実習型訓練は、昨年の11月7日から本年2月6日までの3カ月間です。訓練生は、在職している2人の非正規の社員とし、「生産業務に関わる基礎を学ばせ、正社員として即戦力となるスキルを身に付けさせる」ような訓練カリキュラムにしました。また、訓練の指導者は、4人のベテラン社員が務めました。
 Off-JTは44時間25分、OJTは175時間55分の合計220時間20分の訓練とし、Off-JTは、全体の約2割としました。
 日割りカレンダーに沿って各項目ごとにOff-JTを実施し、その後にOJTを実施するというパターンで生産業務の基礎を学ばせました。
 また、訓練日誌は、毎日2人の訓練生に記載させ、その内容を訓練の指導者が確認し、必要に応じてアドバイスしました。
 訓練の開始から1カ月半が経過した時点では、評価シート(ジョブ・カード様式4)を活用した中間評価を実施し、最終日に最終評価と面接試験を実施したうえ、2人とも正社員へと転換しました。

3.阻害要因とそれを乗り越えるための工夫

 有期実習型訓練の実施は初めての経験でしたので、東京都地域ジョブ・カードセンターの制度普及推進員の方のアドバイスを受けながら、訓練カリキュラムと評価シート、日割りカレンダーを作成しました。
 特に、評価シートは、何ができて、何ができないかを判断するものですから、大変な作業でした。しかし、制度普及推進員の方の懇切丁寧な指導がありましたので、非常に感謝しています。当社単独では作成できなかったと思います。
 最も苦労したのは、Off-JT用の教材の作成でした。Off-JTの項目ごとの工程とそれに関連する周辺の知識について全社員にヒアリングしました。従来の工程表の作業一つひとつを噛み砕いて素人にも理解できるように説明することは、訓練の指導者にとっては結構大変なことでした。聞き取った内容をメモにとり、関連した図を描いたうえ、パソコンでまとめる作業を続けましたので、Off-JT用の教科書は全て「手づくりの教材」となりました。
 このように、これまではバラバラだった教え方を統一するため、全社員の頑張りによって、初めて文書化に成功しました。
 また、訓練の実施中は戸惑うことも多くありましたが、東京都地域ジョブ・カードセンターの制度普及推進員の方から訓練の実施状況を確認する電話や訪問がありましたので、その都度、相談に応じてもらうことができました。

4.制度の活用による具体的な効果

訓練日誌についての指導
訓練日誌についての指導

 3カ月間の有期実習型訓練を終了した感想は、以下のとおりです。

(1)平均年齢は、55歳から50歳になり、5歳若返ったので、社内全体の雰囲気が若返った。

(2)全社員が協力したので、全ての情報を共有する習慣が身に付いた。このため、社内の業務に他人事はないという意識が生まれた。

(3)教えるための教材を作成したので、社内全体での現場の見える化が実現したうえ、統一した教え方が確立した。

 上記のように、当初想定した成果があったほか、現在では、教材の作成の継続や業務全体の細かい見直し、業務の棚卸、業務ベースの組織図づくりまで展開しています。
 訓練の指導者と元訓練生にアンケート調査を実施したところ、訓練の指導者からは、「最初は、どこまで教えるか自信がなく、不安だった」「訓練生が怪我をしないように気をつけた」「もっと教えたかったが、時間が限られているので、ほんの一部だけになった」「訓練生には役立つ」などの回答がありました。また、元訓練生からは、「未経験な分野なので、最初は不安だったが、先輩の指導者が親切だったので、乗り越えられた」「Off-JTを実施してからOJTを実施したので、スムーズに対応できた」「教科書だけではつかめないものづくりのコツをつかむのに苦労した」などのコメントが寄せられています。結論としては、全員が「有期実習型訓練を実施してよかった」と回答しています。
 上記に加え、以下のようなことが言えると思います。

(1)企業の規模にかかわらず、社内全体でジョブ・カード制度を活用することの意義と目標をはっきりと見出せれば、訓練前の準備や訓練の実施から助成金の支給申請まで、モチベーションをもって必ずやりとおせる。

(2)訓練を終了するまでには今後の課題も見えてくるので、訓練の終了後も会社として同じ姿勢を保ち、それらの課題の解決に向けた取り組みを継続していくことが大切。訓練の終了で終わりにしない。

(平成26年7月現在)

有期実習型訓練の概要

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有期実習型訓練の概要