企業から寄せられた声(文字情報)

株式会社エー・アンド・エム

会社概要

所在地: 静岡県富士市
業種: その他サービス業(会計事務所)
資本金: 1,000万円
従業員数: 7人

訓練概要

訓練コース: 税理士職員育成コース
職種: 税理士職員
訓練生数: 1人(終了後に正社員採用)
期間: 平成25年9月~26年1月
訓練種別: 有期実習型訓練(基本型)

1.制度の活用に取り組んだ目的

富士市にある会社での仕事の様子
富士市にある会社での仕事の様子

 当社は、佐野公洋税理士事務所内に設置している会社であり、先代の時代の平成14年8月に創業しました。現在は、この税理士事務所から会計業務を受託しています。会社名は、Accounting(会計)&Management(経営)の頭文字を取って名付けました。
 当社の社員としての仕事の内容は、電話の取り次ぎをはじめ、請求書の発行などの一般の会社と同じような仕事から、会計伝票の入力や決算、給与計算など、会計事務所に特有なものです。仕事を完全に任せられるようになるためには、だいたい3年くらいはかかります。
 こうした状況のもと、昨年6月、それまで8年間にわたって勤務していた女性の社員から、「結婚するので、今年の8月末で退職したい」との申し出がありました。当社としては、結婚しても、引き続き勤務してほしかったのですが、富士市から離れたところに嫁ぐために、引き続きの勤務は難しいとのことでした。
 そのため、後任となる社員を募集したのですが、会計事務所という仕事柄、お客様の大切な個人情報をお預かりすることから、誰でも良いというわけにはいきませんので、採用には、とても慎重になりました。
 これまでは、縁故者か学校の先生からの紹介で社員を採用してきました。しかし、このときは、縁故者には適当な人がいなかったことに加え、学校の先生からの紹介も時期的には難しい状況にありました。
 このようなことから、ハローワークと会計業務を受託している税理士事務所のホームページ(http://www.sanotax.com/)を活用し、簿記検定2級以上の資格を取得している若い人を募集しました。しかし、7月になっても、8月になっても、1人も応募がありませんでした。
 その後、いろいろと検討した結果、資格や経験はなくても、会計事務所に興味をもっている若者を有期で採用し、その人の適性を見極めたうえで正社員にすることとし、時間をかけて育成することにしました。
 こうしたことをハローワークの担当の方に相談したところ、ジョブ・カード制度の有期実習型訓練と沼津商工会議所に設置されている静岡県地域ジョブ・カードサポートセンターが有期実習型訓練を実施する企業を支援しているということを紹介してもらいました。
 早速、静岡県地域ジョブ・カードサポートセンターに連絡したところ、そこの制度普及推進員の方がすぐに当社を訪問し、有期実習型訓練の仕組みをはじめ、訓練の実施方法、静岡労働局に提出する申請書類の作成に至るまで、懇切丁寧に説明してもらいました。
 この説明を聞いた結果、当社には、正にジョブ・カード制度の有期実習型訓練がうってつけだと思いました。実際、前述したように、ハローワークなどで社員を募集したところ、それまでは全く応募がなかったのですが、今回は、求人票に「未経験者でも丁寧に指導します」と表記し、未経験者でも安心して働くことができることをアピールしたところ、一気に20人以上の応募がありました。しかも、とても素晴らしい人たちが多く、面接すると、半数近くの人は合格レベルの人たちでした。
 その中から、1人の女性を有期で採用し、有期実習型訓練を実施することにしました。大学は、経済学部ではなく社会学部の卒業であり、大学時代は、3年程度の間、飲食店でアルバイトをしていたようです。簿記検定の資格は取得してませんでしたが、秘書検定の準1級に合格している礼儀正しい人でした。

2.具体的な取組内容

OJTの実施風景
OJTの実施風景

 有期実習型訓練の期間は、昨年の9月30日から今年の1月8日までの約3カ月間としました。財務管理実習について教えるOJTは364時間、オリエンテーションと職業能力基礎講習、ビジネスマナー、業務PC基礎演習を内容としたOff-JTは55時間の合計419時間としました。
 社内の訓練の指導者は2人としましたが、実際には、他の社員を含め、社員が全員でサポートしましたので、社員同士のコミュニケーションの向上につながったという、副次的なメリットもありました。
 また、Off-JTで実施したオリエンテーション以外の訓練は、三島市にある教育訓練機関の㈱アイ・クリエィティブの講座を受講させました。この講座は、とても内容が濃いものでしたので、社長の私も受講してみたいと思ったほどです。受講した訓練生からは、「知らないことがたくさんあったので、とても勉強になった」との感想が寄せられました。

3.阻害要因とそれを乗り越えるための工夫

 有期実習型訓練を実施するに当たっては、当初、以下のような3つの不安がありました。
(1)採用する側の不安

1)その人に適性があるか。

2)これまでに実施したことがない社内トレーニングをうまくできるか。

3)短期間に一定のレベルのスキルを身に付けさせることができるか。

(2)訓練生としての不安

1)正社員として働いたことがない。

2)興味はあるが、会計事務所というこれまでにかかわったことがない世界に入る。

3)資格(簿記検定2級)がない。

(3)有期実習型訓練の終了後にキャリアアップ助成金の支給申請する必要があるが、そのための申請書類を作成できるか。
 しかし、それほど心配する必要はありませんでした。静岡県地域ジョブ・カードサポートセンターの制度普及推進員の方に訓練カリキュラムの作成から、助成金の支給申請まで、とても親切にサポートしてもらいましたので、非常に助かりました。

4.制度の活用による具体的な効果

 通常であれば、半年以上かかることが3カ月ほどの有期実習型訓練で達成できました。また、訓練を通じて仕事に対する適性も確認できましたので、終了後には正社員として採用しました。
 この元訓練生は、本当に優秀な人であり、簿記検定3級の取得に向けて独学した結果、昨年11月には日商の簿記検定3級の資格を取得し、今年の11月には、2級試験を受験したところです。現在では、仕事のスピードが向上し、当社としては、「良い人が来てくれた」と感謝している毎日です。
 一般的に、当社のような小規模な企業では、社員教育のマニュアルのようなものはありませんので、毎回、決まった実施方法で社員教育することは、あまりありませんでした。このため、入社した時期や教育を担当する指導者の違いによって、社員のその後の成長に差が出てしまうことがありました。しかし、ジョブ・カード制度の有期実習型訓練を活用すると、訓練カリキュラムに沿って教育できます。つまり、客観的にチェックしながら進めることができるのです。
 私は、外部のセミナーによく参加していますが、たまには、学んだことを終了後に記載するものがあります。これは、とても大変なことですが、インプットしたことをアウトプットすることによって記憶に残ることが多く、何よりもセミナーを真剣に聴くようになります。
 ジョブ・カード制度の有期実習型訓練も、訓練の指導者と訓練生の双方で、訓練の中間と終了後に達成度を評価する必要があります。この能力評価を実施することによって、訓練生としては、何ができるようになって、何が課題として残っているかが明確になります。これは、能力評価を実施しなかった場合と比較すると、その後の仕事の進め方に大きな差が出てくると思います。
 当社としては、今後も、ジョブ・カード制度の有期実習型訓練を活用したいと考えています。仮に、何らかの理由で活用できない場合であっても、社内教育の実施方法をある程度は確立できましたので、効果的に人材を育成できると思います。
 求めている人材が社員になり、国から支給される助成金によって訓練にかかった経費負担を軽減できるというメリットもあります。「案ずるより産むが易し」です。貴社でも、まずは、トライしてみてはいかがでしょうか。

(平成26年11月現在)

有期実習型訓練の概要

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有期実習型訓練の概要