企業から寄せられた声(文字情報)

(株)丸嘉

会社概要

所在地: 京都市伏見区
業種: 木材販売(輸入フローリング材、アンティークウッド〈古材〉)
資本金: 1,000万円
従業員数: 15人
URL: http://www.muku-flooring.co.jp/

訓練概要

訓練コース: 営業事務・接客(ウッドコンシェルジュ)人材育成コース
職種: 販売の職業
訓練生数: 2人(修了後に2人とも正社員採用)
期間: 平成26年9月~12月
訓練種別: 有期実習型訓練(基本型)

1.制度の活用に取り組んだ目的

本社内のショールーム
本社内のショールーム

 当社は1859年(安政6年)に創業し、160年近くにわたって事業を行ってきており、私(現社長)で5代目となります。
 本社は京都市の伏見区にあり、築100年の町家を改修したショールームを御所南に持っています。事業内容は木材業で、建築で使う無垢フローリング材のほか、10年前に始めた京都の町家から採集した古材・古材家具を製造販売する事業を行っています。
 社員は、パートを含めて15人の非常に小さな規模の会社です。15人のうち13人が女性社員であり、隣接する倉庫で商品管理を担当している男性社員を除けば、本社のオフィスにいる男性は私1人だけです。このため、短大や四年制の大学を卒業した文系の女性を管理職に登用し、事業をコントロールできるように運営しています。
 お客様からは、「女性の社員がたくさんおられますね」と言われますが、社員は事務や営業のほか、あらゆる業務に対応できる人材として位置付けています。
 現在、政府では、女性の積極的な登用、活用を重視していますが、当社でも、10年ほど前から女性を積極的に活用してきています。女性は細かい業務に長けており、一見つまらない仕事と思われる見積もりの業務や接客の業務であっても、実に、「真面目に」「丁寧に」「確実に」対応してくれます。
 当社では、彼女たちを「ウッドコンシェルジュ」と呼んでいます。つまり、「木の案内人」として、お客様をご案内するという総合職の仕事に就いてもらっているのです。一般的な事務員という概念ではなく、いろいろな状況を的確に把握して判断し、行動に至るまで、一貫して対応できる社員になるような教育を行っています。
 このような当社での人材の育成方法は、決してここまで順調にきたわけではありません。採用しても、定着させることが大変難しく、入社して1年半から2年くらいで退職してしまうことが続いていましたので、困っていたのが実情でした。
 そのようなとき、当社が京都商工会議所の会員企業だったこともあり、同商工会議所に設置されている京都府地域ジョブ・カードセンターに相談するように勧められ、そこの制度普及推進員の方からジョブ・カード制度による有期実習型訓練のことを紹介してもらいました。
 文系の女性が我々のような木材会社に入社し、木材に関するスキルを短期間で修得して木材を販売することは、まずもって不可能と言えます。このようなことから、有期実習型訓練を活用し、しっかりとした教育を実施することにしました。

2.具体的な取組内容

Off-JTの実施風景
Off-JTの実施風景

 制度普及推進員の方のアドバイスを踏まえ、訓練の希望者は、ハローワークだけではなく、京都府などの公的機関が主催する合同企業説明会に参加するなど、求職者へのPR活動を積極的に実施したこともあって、比較的早期に訓練の希望者の応募を得ることができました。
 この訓練の希望者を対象としてジョブ・カードを活用した面接を実施し、2人の訓練生を決定しました。ジョブ・カードによって訓練の希望者の自己理解力や分析力、仕事上の学習能力などを評価できましたので、選考の際に大変役立ちました。ただし、ジョブ・カードに記載された内容だけで採用を決定したわけではなく、適性検査や面接結果など、当社の採用基準に照らして総合的な判断のもとで決定しています。
 今回実施した有期実習型訓練の訓練期間は3カ月間としました。訓練カリキュラムと評価シートは、制度普及推進員の方に当社の業務内容を説明し、当社の実態に合った内容にしてもらいましたので、非常に助かりました。営業事務実習と接客実習を内容としたOJTは270時間、Off-JTは、オリエンテーションと能力評価、営業マナー研修、職業能力基礎演習を30時間とし、合計で300時間としました。
 2人の訓練は、具体的な目標を設定し、フィードバックのための時間を使いながら実施しました。訓練生には、「自己効力感」を感じてもらえるように、小さな成功を積み重ね、教育を通じて自信を持ってもらえるようにしました。
 訓練を指導した2人の先輩社員も、当社に入社した頃は人材育成の経験がない女性でしたので、自分たちの「妹」を迎え入れ、育てられる指導者として位置づけ、きちっと責任が取れる仕組みを構築しました。

3.阻害要因とそれを乗り越えるための工夫

 有期実習型訓練を指導した2人の先輩社員の負担が大きかったのが一番の問題でした。当社のような中小企業では、訓練カリキュラムの内容どおりに進めることが難しかったので、担当している業務を他の社員に分散して時間の確保に努めたり、スケジュールを変更するなどの工夫をしました。
 また、2人の訓練生には、毎日、訓練日誌への記載を義務付けましたので、負担を軽減するために、当社が独自に作成している日報の様式から転記できるようにしました。

4.制度の活用による具体的な効果

 少子化によって若年層の人材が少なくなり、「ヒト」「モノ」「カネ」、そして「戦略」といわれる中、これからは「人材の確保」が一番大きな課題になってくると考えています。
 このようなことに対応していくためには、しっかりと教育して仕事を任せられる素晴らしいリーダーを養成していくことが大切です。「個人×個人」でチーム力を発揮して結果を引き出せる力、そして、自分自身で状況を分析して判断し、決定権を持って進めていく力が必要です。
 「スピードは正確に勝る」ということで、スピードを上げて正しく判断するということによって、力がついてくると思います。
 有期実習型訓練を修了し、正社員として登用した元訓練生からは、「有期実習型訓練を実施する前に内容が明確に示されたので、『どのようなことをするんだろう・・・』といった不安を抱くことなく、訓練に取り組むことができた」などと評価する声が寄せられています。
 個人の能力に依存した対応や指導の仕方では、うまくいかなかったのがかつての当社でした。現在では、計画的なプログラムのもとで、中長期的に教育する仕組みの策定に取り組んでいるところです。
 有期実習型訓練を実施して一番に言えることは、「人を使う」という発想ではなく、「人を育てる」「人材を育成する」という考え方が重要だということです。これからも人を育て、人と共に育つ企業でありたいと考えています。
 これから有期実習型訓練を実施する経営者は、訓練システムをどのようにして機能させるかを考え、「年々変化している若者の気質を理解し、対応できる経営者」として意識改革し、決断力を発揮することが大事だと思います。すなわち、企業としての「人材の育成力」を向上させるための取り組みが必要だということです。

(平成27年4月現在)

 追 記
 この原稿は、京都商工会議所が平成27年2月23日に開催したジョブ・カードフェア(企業などに対する説明会)での事例発表の内容を基にしてとりまとめたものです。

有期実習型訓練の概要

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