企業から寄せられた声(文字情報)

丸栄工業株式会社

会社概要

所在地: 東京都中央区
業種: 建築資材専門商社
資本金: 3,000万円
従業員数: 68人
URL: http://www.marueikogyo.co.jp

訓練概要

コース名: エクステリア 営業コース
職種: 営業
訓練生数: 1人(終了後に正社員採用)
期間: 平成26年7月~27年1月
種別: 有期実習型訓練(基本型)

1.制度の活用に取り組んだ目的

配送センターでのKCI集合管の配送準備作業
配送センターでのKCI集合管の配送準備作業

 当社は、映画「キューポラのある街」の舞台となった埼玉県の川口市で昭和35年3月に創業し、今年で55年を迎えました。
 創業時は、鋳物マンホールや給・排水管などの製造メーカーでしたが、その後に事業内容を拡充し、現在では、建築資材の専門商社として、建設用管工資材と住宅設備機器、エクステリア製品の卸、ネットショップ(楽天市場・エクステリア工房ほか)、不動産賃貸、新規事業として太陽光発電等の環境事業を行っています。従業員数は68人で、このうち、正社員が57人、有期雇用社員7人、ほかに4人の嘱託社員がいます。
 事業所は、平成13年8月に移転した本社(東京都中央区)のほか、4つの支社(東北〈宮城県名取市〉、埼玉〈さいたま市〉、千葉〈千葉市〉、東京〈中央区〉)と1つの配送センター(埼玉県上尾市)があります。
 当社では、社員の高齢化が進んでいた中で、社員を採用しようとしても、「若年者の応募が少ない」「若年者の定着率が悪い」といったように、中小・零細企業特有の課題を抱えていました。応募する側からすれば、「給料や将来設計に魅力がもてない」、当社の側からすれば、「教育システム(教えない、教えられない)ができていなかった」ことなどが、その要因と思われました。
 このため、ハローワークで求人を募集しても、応募者はほとんどなく、特に若年者の応募がありませんでした。このようなことから、求人の募集に向けてハローワークへ相談に出向いたところ、厚生労働省が全国的に推進している「若者応援企業」の宣言を勧められました。
 併せて、ジョブ・カードを活用した若者チャレンジ訓練(平成26年3月31日で都道府県労働局での受付業務は終了)について紹介されたことに加え、東京商工会議所の東京都地域ジョブ・カードセンターを紹介されました。ジョブ・カードセンターでは、この訓練を実施する企業に対し、訓練カリキュラムや評価シートなどを含めた訓練計画の作成などを支援しているということを聞きました。早速、東京都地域ジョブ・カードセンターを訪問し、そこの制度普及推進員の方から若者チャレンジ訓練の仕組みなどについての詳細な説明を受けました。
 その説明を聞くと、①まずは、有期契約社員として雇い入れたうえ、その間に、本人の技量や人間性を確認しながら正社員として雇用できる、②有期契約社員には、当社での業務と社内の雰囲気を理解してもらったうえで、正社員として働いてもらえる、③社内では、新人を育成するという風土を醸成できるということでした。若者チャレンジ訓練は、当社が抱えていた課題を解決するために役立つのではないかと思ったことから、訓練を実施することにしました。

2.具体的な取組内容

 若者チャレンジ訓練は、倉庫業務と営業の2つのコースで1人ずつの訓練生を対象とした訓練計画を作成し、2人の訓練生は、ハローワークで募集しました。
 初めての実施でしたので、訓練カリキュラムと評価シートの作成、現場の指導体制の整備には苦労しましたが、制度普及推進員の方の適切なアドバイスがありましたので、非常に助かりました。
 倉庫業務コースの訓練生は、真面目に受講しましたが、様々な角度から指導したにもかかわらず、最終的には、技量にも疑問がありましたので、正規雇用には至りませんでした。もう1人の営業コースの訓練生は、当社の業務や社内の雰囲気になじめなかったことから、訓練の途中で退職しました。
 このように、初めて実施した若者チャレンジ訓練は、当社が考えていたような成果をあげられませんでしたが、現場での今後の指導体制の整備には大いに役立ちました。具体的には、「盗んで覚える、体で覚える」という文化から、「カリキュラムを組んで教える、教えられる」という文化へと、当社での「教育文化」が大きく変化したことです。  

3.阻害要因とそれを乗り越えるための工夫

 上記のように、初めて実施した若者チャレンジ訓練は、残念な結果になりましたが、ジョブ・カード制度自体は、当社が抱えていた課題を解決するために有効だと思いましたので、倉庫業務コースの2回目の若者チャレンジ訓練を実施しました。
 そのときは、初回の訓練での反省を踏まえ、ベテランの社員のほか、訓練生と同世代の社員の2人がマンツーマンで指導する体制になるように工夫しました。その後、千葉支店の営業コース、本社の購買業務コースでも有期実習型訓練(別添の「有期実習型訓練の概要」をご参照。これは、6回目のもの。)を実施し、終了後は、正規雇用しています。
 当社では、これまでに若者チャレンジ訓練を2回、有期実習型訓練を4回実施してきており、最初の2人以外の4人の元訓練生は、現在でも、正社員として頑張っています。  

4.制度の活用による具体的な効果

Off-JTの実施風景
Off-JTの実施風景

 これまでに合計で6回実施した若者チャレンジ訓練と有期実習型訓練では、若者を採用できることと正社員としての定着率が向上したこと以外にも、①正規雇用後は、職場にうまく溶け込んでいる、②自信をもって仕事をしている、③訓練の指導者も意識を改革できた、④業務の改善などについての社員の意識が高まった、というような効果がありました。
 また、当社としての効用は、①ジョブ・カードの様式によって、訓練生の職歴や当社への志望動機、新しい仕事への思いを確認できた、②訓練カリキュラムと評価シートによって、訓練生の訓練に向けた心構えが醸成できた、③訓練の期間中に評価シートによる能力評価を定期的に実施したことによって、仕事の習熟度合いや訓練計画に偏りがあるかどうかについても精査できたことでした。
 一方、訓練生にとっては、①社外の登録キャリア・コンサルタントとの面談(キャリア・コンサルティング)を通じ、正社員になるという強い動機付けができた、②マンツーマンでの指導の内容を整理し、自分自身が分かることと分からないことを整理できた、③マンツーマンでの指導による能力評価が理解できたので、何をどのように改善しなければならないのか、正社員になるためには何が不足しているのかを理解できたことでした。
 このようなことから、当社としては、人事採用の基本パターンを構築するためにも、引き続きジョブ・カード制度を活用していくことにしています。平成27年度は、企業内の人材を育成するために、ジョブ・カード制度の教育訓練が新たに始まるということですので、就業規則を改定し、社内の昇給制度として活用していく予定です。
 ジョブ・カード制度の若者チャレンジ訓練と有期実習型訓練を活用して気付いたことは、訓練生の募集に応募する方が少ないということでした。ハローワークにあるインターネットサービスの求人情報検索では、雇用形態は「正社員」と「正社員以外」の2つに分かれていますが、これに「有期実習型訓練」を追加してほしいということです。応募者が増えれば、有期実習型訓練の人材の募集は、中小企業でもさらに広がると思いますので、ジョブ・カード制度を所管している厚生労働省では、是非とも検討してほしいと思います。  
 

追記

 この原稿は、東京商工会議所の東京都地域ジョブ・カードセンターが平成27年6月4日に開催した「ジョブ・カード制度キャリアアップ助成金(人材育成コース)説明会」での丸栄工業㈱の専務取締役・山下美之氏の事例発表の内容を基にして東京都地域ジョブ・カードセンターの事務局がとりまとめたものです。

(平成27年7月現在)

有期実習型訓練の概要

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有期実習型訓練の概要