企業から寄せられた声(文字情報)

深江特殊鋼株式会社

会社概要

所在地: 広島県福山市
業種: 製造業
資本金: 2,000万円
従業員数: 113人
URL: http://www.fukae.co.jp/

訓練概要

コース名: ①営業コース、②営業業務コース、
③製品切断加工コース
職種: ①営業、②事務、③加工工
訓練生数: 9人
①1人(終了後に正社員採用)
②4人(終了後に全員を正社員採用)
③4人(終了後に全員を正社員採用)
期間: ①、②、③とも
平成26年10月~12月(3ヶ月間)
種別: ①、②、③とも
有期実習型訓練(キャリア・アップ型)

1.制度の活用に取り組んだ目的

広島県福山市にある本社事務所
広島県福山市にある本社事務所

 当社は、昭和34年6月に特殊鋼の専門商社として創業し、昭和39年11月に現在の株式会社としてスタートしました。
 福山市にある本社のほか、3つの支店(東大阪市、岡山市、東広島市)と2つの営業所(神戸市、四国中央市)があります。社員は113人で、このうち、男性が75%を占めています。
 創業時から1980年代にかけては、営業所の開設や切断センターの建設などの量的拡大を図り、1990年代には24時間無人切断ラインを導入するとともに取扱商品を拡大し、「特殊鋼のコンビニ化」を図りました。バブルがはじけた2000年以降は、「物づくり商社」に転換して加工品に力を入れ、加工設備投資を積極的に実施しました。現在、当社のお客様は1,500社あり、これらの全てが物づくりを行っている会社です。
 このお客様への最大の貢献は受注の確保であり、お客様の営業代行として、加工仕事を確保することに尽力しています。
 当社のビジネスコンセプトとしては、「『造る』だけじゃない! 『売る』だけじゃない!」ということを掲げています。具体的には、お客様とともにグローバル競争に勝ち抜く「物づくり商社」となり、また、全ての社員がプライドを持って働けるような理想的な工場にしようということです。
 こうしたことを実現する人材育成に向けて、「流した汗を成果に」ということを大事にしています。世の中には、流した汗と成果が結びつかない人や適性を発揮できない人たちが沢山います。このため、社員の皆さんの適性を見極めて、成果に結び付けられるようにすることが経営者の役目だと考えています。
 人材育成に対し、絶えず情報の入手に努めている当社がジョブ・カード制度の有期実習型訓練のことを知ったのは、ハローワーク福山の職員の方から紹介されたのがきっかけです。併せて、広島県地域ジョブ・カードセンター(広島商工会議所に設置)の制度普及推進員の方も紹介してもらいましたので、当社への訪問を依頼し、ジョブ・カード制度の仕組みや広島労働局への申請手続きなどについて説明してもらいました。
 この説明を聞いたところ、
(1)当社独自の教育プログラムの作成に対し、制度普及推進員の方に支援してもらえる。
(2)有期実習型訓練の終了後には、国から助成金が支給されるので、訓練に要した経費負担を軽減できる。
(3)OJT(実習)とOff-JT(座学等)を組み合わせた教育訓練を実施できる。
(4)有期実習型訓練を活用した教育訓練は、人材育成に非常に効果がある。
という素晴らしい制度だと考え、優秀な社員を育成するために実施することにしました。

 

2.具体的な取組内容

3コース9人の訓練生を対象に実施したOff-JT
3コース9人の訓練生を対象に実施したOff-JT

 当社での有期実習型訓練は、9人の有期契約の社員を対象として、営業と営業業務、製品切断加工の3つのコースに分けて実施しました。訓練期間は、3コースとも平成26年の10月1日から12月31日までの3カ月間とし、訓練生の人数が多いことから、訓練の指導は、社長をはじめ、7人の各部門長がそれぞれの役割分担を決めて実施しました。
 訓練カリキュラムと評価シートは、訓練生の「仕上がり像」を検討したうえ、制度普及推進員の方のアドバイスを受けながら作成しましたので、非常に助かりました。
 3つのコースのうち、
(1)営業コース(OJT:300時間、Off-JT: 50時間)では、
   1人の男性を対象に実施。訓練の指導者が訓練日誌の内容を確認し、
   良いところは徹底的に褒めるようにしました。
   これは、最近の若者は「褒めて伸びる」タイプが多いと感じていたからです。
(2)営業業務コース(OJT:225時間、Off-JT:25時間)では、
   通信機器と社内LAN、文書管理を習得させる「情報システム」という科目をOff-JTに設けました。
   4人の女性の訓練生は、パソコンの操作を上手くできました。しかしながら、
   情報システムの本当の意味を理解できていませんでしたので、Off-JTの実技科目に「文書管理とファイリング基本」を設け、
   文書管理を体系立てて実施することによって、システム思考能力を身に付けてもらいました。
(3)製品切断加工コース(OJT:300時間、Off-JT:50時間)では、4人の男性を対象に実施。
   当初は、仕事を通して社会に貢献するという意識が欠けていましたので、自己啓発を通じて働く意味を理解してもらいました。
   玉掛技能講習と天井クレーン特別講習などは、外部の学校に通わせましたので、教材費などの経費がかかりました。しかし、
   有期実習型訓練の終了後に国から支給された助成金で経費負担を軽減できましたので、とても助かりました。
   訓練のために職場から離れることになっても、社員は「訓練を受けに行っている」と考え、
   訓練生は「訓練を受けさせてもらっている」といったことが明確になりましたので、
   職場内でのコミュニケ―ションを上手くとることができました。
   
 

3.阻害要因とそれを乗り越えるための工夫

 国の助成金の申請書類などは、丁寧な説明文が記載されていますが、正直いって理解するのが難しかったのが実感でした。
 また、有期実習型訓練を実施するためには、広島労働局長に訓練計画を提出し、開始前に記載内容を確認してもらわなければなりません。このような申請書類の作成や申請手続きが結構大変でしたが、制度普及推進員の方の懇切丁寧なアドバイスがありましたので、とても助かりました。

 

4.制度の活用による具体的な効果

製品切断加工コースのOJTとOff-JT
 製品切断加工コースのOJTとOff-JT

 OJTとOff-JTを組み合わせた教育訓練を通じ、訓練生の適性を把握できました。このため、有期実習型訓練を実施した成果としては、配属先を効果的に決定できたことです。
 文科系の学生に対し、「希望する職種は何ですか?」と尋ねると、「営業」や「一般事務」などと答えますが、これは、その職種だけしか知らないからです。当社では、本人と十分に話し合って適職を考えていますので、例えば、国立大学の文学部を卒業した女性は、CAD/CAMのオペレーターとして活躍しています。
 また、教育体制の充実を図れたことも成果のひとつでした。当初、教える指導者側は、教え方が不慣れでしたので、「何を、どのような順序で、教えればよいのか」といったことを指導者同士で議論して教えていくうちに徐々に成果に繋がりました。
 訓練の終了後に正社員として採用した9人の元訓練生からは、「社会の中と会社の中での自分の役割を認識できた」「仕事の大切さと仕事をする意味が分かった」「仕事の楽しさを自分で見出すことができた」「責任感をもって頑張りたい」などといった声が寄せられています。
 今回の有期実習型訓練を活用したことにより、「あせらず」「急がず」「確実に」訓練生を教育し、基本的なスキルを身に付けてもらうことを徹底するとともに、形に心を添える大切さを理解してもらいました。また、「訓練」や「教育」というワードのなかった当社にとっては、「学ぶ文化」を導入できましたので、継続して「活用できる教育体制」を充実させることができました。
 さらに、評価シートによって、同じ評価基準で社員個々人の能力や教育結果を正確に把握できるようになりました。また、訓練生の取組姿勢が他の社員に波及し、挨拶や電話応対、仕事への取組姿勢などが全社的に向上したという波及効果もありました。
 有期実習型訓練は、教育に必要な経費を助成金で賄うことができますので、「時間的ゆとり教育」を可能にします。転職の多い人も、その原因を探れば、人間関係のもつれなどがあります。このようなことから、当社としては、働きたいという意欲が強い人の潜在能力を重視し、意識を形に変え、適性を活かすチャンスときっかけを与えたいと考えています。即戦力よりも潜在能力、いわゆる「伸び代」を重視し、汗を流す人材、まじめな人材を採用し、成果に導くことが中小企業にとっての大切な役割だと思っています。
 当社のような中小企業では、行政やアドバイザー、職場の先輩社員などが一体となった「共育体制」により、家庭の主婦などの時間的なハンディキャップのある人や高齢者に対して働くチャンスを創出し、「輝く人財」にしていかなければならないと考えています。
 
   

追 記

 この原稿は、広島商工会議所に設置している広島県地域ジョブ・カードセンターが平成27年6月11日に福山商工会議所で開催した「『ジョブ・カード制度』企業説明会」での深江特殊鋼㈱の代表取締役・木村雅昭氏の「ジョブ・カード制度を活用した正社員登用について」をテーマとした事例発表の内容を基にして、広島県地域ジョブ・カードセンターの事務局がとりまとめたものです。
 説明会の終了後に参加者(経営者や人事担当者など)を対象に実施したアンケート調査では、
〇「ジョブ・カード制度を活用する難しさとメリット
 (国からの助成金による支援など)、事業所と訓練の指導者の役割、成果についての説明が分かりやすかった」
〇「ユーモアを交えて説明したので、聞き手を非常にのめり込ませる感じだった」
〇「働きやすい環境づくり、社員にチャンスを与えるための試みなど、考えさせられた」
〇「社長の姿勢が会社に反映された感じ」
など、「非常に参考になった」との感想が寄せられました。
 また、この取り組みについての打ち合わせ を重ねるうちに、訓練カリキュラムと評価シ ートは、「見える化」して構築できたことか ら、「当社にとっての財産になった」と、木村社長にも喜んでもらいました。
 

(平成27年10月現在)

有期実習型訓練の概要

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