企業から寄せられた声(文字情報)

医療法人聖峰会 田主丸中央病院

会社概要

所在地: 福岡県久留米市
業種: 医療・介護
資本金: なし
従業員数: 830人
URL: http://www.seihoukai.or.jp/

訓練概要

コース名: 介護老人保健施設介護職養成コース
職種: 介護職
訓練生数: 6人(終了後に全員を正社員採用)
期間: 平成27年4月~9月(6ヵ月間)
種別: 有期実習型訓練(基本型)

1.制度の活用に取り組んだ目的

車イスの操作実習
車イスの操作実習

 当法人は、福岡県の中南部にある久留米市の東部に位置する地域医療支援病院です。昭和29年9月に内科・呼吸器科の田主丸療養所としてスタートし、今年で61年目を迎えました。
 現在は、29の診療科があり、ベッド数が343床の地域の中核病院としての機能を果たしています。付属の施設としては、介護老人保健施設サンライフ聖峰をはじめ、デイケアセンターひまわり、健康科学センター・サンヘルス聖峰、訪問看護ステーション、グループホームひまわり館、認知症対応型デイサービス、小規模多機能型居宅介護施設などがあります。
 「地域のために 地域とともに」を経営理念として掲げ、地域の人々に保健と救急からリハビリ、在宅を含めた包括的な医療と介護を提供するとともに、福祉との統合を図り、地域に貢献したいと考えています。
 当法人の職員は、830人です。その3割以上は、介護福祉士(164人)と介護職員(109人)が占めています。
 介護の入職者数は、年々、減少してきており、入職者のうちの約半数は、未経験者または無資格者です。特に、未経験者の場合は、離職率が高いといった問題があります。
 こうしたことに加え、介護を取り巻く環境は、以下のような状況にありましたので、介護職員の雇用に困窮していました。
  • (1)介護福祉士などの有資格者や経験者の採用は厳しく、地域内での奪い合いになっている
  • (2)介護への従事者が不足しているため、未経験者や他の業界からの流出者を採用せざるを得ない。
  • (3)給与などは、他の職種に比べて安く、景気の動向に左右され、集まりにくい。
  • (4)精神的なストレスなどによる離職者が多い。
 このようなことから、介護職員の採用に当たっては、①求人チラシやハローワークでの募集、②職員からの紹介、③「70歳現役応援センター」からの定年後のパート採用を実施してきました。しかしながら、期待したような実績をあげられないために、苦慮していました。
 そのようなときに、当法人を訪問した福岡県地域ジョブ・カードサポートセンター(久留米商工会議所に設置)の制度普及推進員の方から、ジョブ・カード制度の有期実習型訓練の活用を勧められました。
 その説明を聞くと、①未経験者を訓練生として採用したうえ、一定期間(3カ月間から6カ月間のいずれか)にわたって介護職員として教育し、その評価結果に応じて正社員として採用できる、②時間はかかるが、採用時のミスマッチを軽減できる、③訓練の終了後に国から助成金が支給されるので、訓練に要するコスト負担を軽減できるというように、企業にとってのメリットがあるとのことでしたので、早速、有期実習型訓練を実施することにしました。

 

2.具体的な取組内容

機械浴介助の指導
機械浴介助の指導

 有期実習型訓練の訓練カリキュラムは、制度普及推進員の方のアドバイスを受けながら作成し、未経験者であっても、介護という現場に徐々に馴染んでもらえるように、6カ月(訓練時間は863.5時間)の期間を設定し、介護の知識と技術を習得させるための訓練カリキュラムとしました。
 このうち、Off-JTは2カ月間(263.5時間)とし、介護概論と関係法規、医学の基礎知識、介護職員初任者研修講座、パソコン(ワードとエクセル)の基本実習などについて指導しました。残りの4カ月間(600時間)はOJTとし、介護老人保健施設での実技実習と介護記録の作成などを指導しました。
 Off-JTの座学と実技の指導者としては、看護師やケアマネージャーの資格を有し、かつ、専門学校の講師や部外講師を務めている2人のスペシャリストを配置しました。教材は、福岡労働局地方訓練受講者支援室から事前に確認を受けたテキストを使用し、現場の実情に応じたきめ細かい座学とパソコンの基本操作を指導しました。
 また、OJTでは、介護福祉士やケアマネージャーの資格を有している4人の指導者を配置し、当法人の介護老人保健施設で約4カ月間の介護実習を行いました。最終的には介護職員として1人立ちできるように、毎日、実施した訓練の振り返りをさせました。
   
 

3.阻害要因とそれを乗り越えるための工夫

 有期実習型訓練の開始当初、多忙な現場の職員にとっては、さらなる負担になるのではないかと受け止められたために、若干の抵抗がありました。しかし、開始後は、訓練の有効性が現場の職員にも徐々に認識されるようになり、終了後には訓練生の獲得争奪戦となりました。
 また、質、量ともに手厚い有期実習型訓練を受講している訓練生に対しては、未経験で入職した先輩職員や中堅職員からは多少の不満の声がありましたが、その都度対応し、教育体制を導入して積み重ねていくことが介護全体の質の向上につながることを伝えてきました。
 当時は、当法人の鬼塚俊一理事長が一般社団法人・福岡県私設病院協会の会長を務めていましたので、制度普及推進員の方と連携しながら、同協会の会員病院に対して有期実習型訓練の活用を積極的に働きかけました。また、久留米商工会議所の会員企業向けの機関紙「久留米商工会議所ニュース(平成21年3月号)」で紹介したところ、大きな反響があり、福岡県下の病院に有期実習型訓練を普及させるための原動力になったことはいうまでもありません。
 現在では、介護職員を育成するために毎年実施する恒例の有期実習型訓練として受け入れられるまでになっています。

 

4.制度の活用による具体的な効果

Off-JTの実施風景
 Off-JTの実施風景

 これまでに実施した有期実習型訓練の効果としては、以下のようなものだったと思います。
(1)当法人にとっての効果
  • 1)未経験者を雇用につなげ、人材不足を解消できた。
  • 2)教育体制の充実により、介護の質の向上につながった。
  • 3)訓練期間中に必要な人材かどうかの見極めができたので、正社員として雇用するかどうかの判断ができた。
  • 4)訓練の終了後に国から助成金が支給されたので、コスト負担の軽減に役立った。
  • 5)国の制度を活用したことによって、当法人のイメージアップにつながった。
(2)訓練生にとっての効果
  • 1)介護の知識や技術を習得できた。
  • 2)介護職員初任者研修の資格を取得できた。
  • 3)パソコンの基本操作を習得できた。
  • 4)訓練期間中の費用負担がなく、給与が支給された。
  • 5)仕事のやりがいを持つことにつながり、キャリアアップを図ることができた。
 今後は、従来の6カ月間の訓練期間を4カ月間に短縮し、年2回の有期実習型訓練を実施することによって、介護人材の安定確保と定着化、さらにキャリアアップ支援に力を入れていくことにしています。
 

5.よりレベルの高い介護職員を育成

 転職者や未経験者の多い介護業界では、人材不足のために、すぐに現場配属となり、人員の1人としてカウントされることから、離職者が多いのが現状でした。また、高齢化と景気回復の影響により、加速度的に介護人材不足が悪化すると予測していたこともあり、当法人では、制度普及推進員の方からの提案を受けて有期実習型訓練を実施し、介護人材を育成してきました。
 以下の各事項は、当法人で実施した有期実習型訓練の一番の特徴であったと思います。
  • (1)当時の介護職員の常識では必要ないと思われていたパソコンのエクセルやワードの基本を習得させるためのカリキュラムを40時間設定したほか、新入社員教育を20時間実施した。また、介護職員初任者研修の資格取得をカリキュラムに含めた。
  • (2)6カ月間というゆとりあるカリキュラムで訓練を実施することによって、中高年齢の職種転向者の不安を取り除き、幅広い年齢層から応募があるようになった。
  • (3)有期実習型訓練の修了者は、直ちに正社員化しないが、準社員としての身分を保証し、待遇面を充実させた。さらに、当法人のキャリアアップ制度を活用して能力の向上を図り、介護福祉士の資格取得と同時に、正社員化していく制度を構築し、目標を持って仕事に取り組めるようにした。
  • (4)有期実習型訓練の途中で辞める方のほとんどが雇用関係機関などからの協力依頼によって採用した諸事情のある訓練生であったために、訓練の実施は非常に困難であったが、関係者一同が全力で支援していたことについては、特筆に値する。介護職員が不足している現状のもと、ハローワークで求人を行い、毎年、有期実習型訓練を実施し、長期安定雇用が確立する好循環となっています。
 

(平成27年11月現在)

有期実習型訓練の概要

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若者チャレンジ訓練の概要