企業から寄せられた声(文字情報)

株式会社竹定商店

会社概要

所在地: 京都府京都市
業種: 製造業(竹製品)
資本金: 1,000万円
従業員数: 10人
URL: http://www.takesada-shoten.co.jp/index.html

訓練概要

コース名: 竹加工職人養成コース
職種: 竹製品製造
訓練生数: 1人(終了後に正社員採用)
期間: 平成27年5月~10月
種別: 有期実習型訓練(キャリア・アップ型)

1.制度の活用に取り組んだ目的

京都市右京区にある社屋の全景
京都市右京区にある社屋の全景

 当社は、京都の太秦で明治10年に創業し、約140年間にわたって竹の専業メーカーとしてやってきました。
 寒暖差が大きい京都の気候に鍛えられた竹は、強くてしなやかで、その品質は大変優れているといわれています。この竹は、「千年の都」といわれる京都の伝統に培われ、現在でも、京町屋や茶室、日本庭園、そして、茶道や華道など、様々な分野で使われています。
 当社では、そのような京都の竹藪での竹の伐採から加工までの一貫管理のもと、京銘竹を中心に竹垣などの造園用材をはじめ、屋内建材やその他の竹製品、小物まで幅広く手がけています。中でも、庭で使うような竹垣だとか、建築の内装材や外装材といった建材を主に取り扱っています。
 具体的には、大きい竹垣とか小さい竹垣とか以外にも、建物の壁の装飾用のパネルや酒樽のタガの部分を制作しています。
 これからも、伝統を守りながら、現代の生活にマッチした竹製品を創造し、制作し続けていきたいと考えています。
 当社は、社員の平均年齢が結構高く、だいたい40代半ばに達しています。このため、「早く若い人材を確保しなければならない」「ベテラン社員の持っている技術を伝承しなければならない」といった課題を抱えていました。
 また、従来の仕事は主にルーティンワークでしたので、常に新しいことを発想しないといけません。考える組織づくりと一口に言えば簡単ですが、社員に高いモチベーションを維持してもらうような土壌づくりが2つ目の課題だと思っていました。
 このような課題があることに加え、これまでの人材育成には、場当たり的な面がありましたので、一度きちんとした人材育成計画を作ろうと考えたところ、どのようにして良いのか皆目分からず困っていました。
 いろいろと悩んでいたところ、当社を訪問した京都商工会議所の経営指導員の方から、ジョブ・カード制度の有期実習型訓練とこの訓練を実施する企業を支援している京都府地域ジョブ・カードセンター(京都商工会議所に設置)を紹介してもらいました。
 早速、京都府地域ジョブ・カードセンターを訪問し、そこの制度普及推進員の方から、有期実習型訓練の内容をはじめ、訓練カリキュラムと評価シートの作成方法、評価シートを活用した職業能力の評価の実施方法、訓練期間中の訓練日誌への記入方法、京都労働局への助成金の支給申請の手続き、訓練の実施方法などについて詳細に説明してもらいました。
 説明を聞き、訓練カリキュラムを作成し、それに基づいて訓練を実施するということに非常に魅力を感じました。前述したように、従来から場当たり的なことばかりしてきましたので、この有期実習型訓練を活用すれば、当社でも、計画的な教育ができるのではないかと考え、実施することにしました。

2.具体的な取組内容

 訓練生の候補者は、知り合いの方から紹介してもらった20代の女性で、有期雇用の社員として採用しました。
 その後、京都府地域ジョブ・カードセンターのジョブ・カード作成アドバイザーの方にキャリア・コンサルティングを実施してもらった結果、仕事に対する意欲や目標を読み取ることができたと判断し、訓練生として推薦してもらいました。この訓練生に対する指導は、社長と先輩社員の2人が務めました。
 訓練期間は6カ月間とし、竹加工実務と安全衛生作業を内容としたOJTは600時間、職業能力基礎講習と安全衛生、竹の基礎知識、竹垣の知識と制作方法、制作器具の知識と使用方法、竹垣の制作実習などのOff-JTは75時間の合計675時間の有期実習型訓練としました。
 訓練の期間中は、訓練日誌を活用して仕事の正しい進め方を学ばせたり、記入した内容から仕事についての理解度を把握して、必要に応じてアドバイスしました。また、評価シートを活用した職業能力の中間評価でも、仕事の理解度を確認できましたので、残りの3カ月間の訓練の実施に反映させることができました。
 訓練の指導を担当した2人以外の社員は、訓練生の真面目な取り組みに理解を示し、訓練の実施に非常に協力的でした。

3.阻害要因とそれを乗り越えるための工夫

主要な製品の竹垣
主要な製品の竹垣

 当社にとっては、初めての体験であり、これまで訓練カリキュラムなどを作成したこともありませんでした。このため、訓練カリキュラムを作成するに当たっては、制度普及推進員の方に当社に出向いてもらい、仕事の内容を見てもらったうえ、頻繁な打ち合わせを重ねながら、当社にとって最適な訓練カリキュラムを提案してもらいましたので、非常に助かりました。当社が単独で作成することはできなかったと思います。

4.制度の活用による具体的な効果

Off-JTの実技(竹垣の制作実習)
Off-JTの実技(竹垣の制作実習)

 今回の有期実習型訓練を活用する前にも、新入社員を雇ったことがありました。その人たちは、「竹≒小物を作る」というイメージが強く、「小物を作りたくて、御社に来ました」という人たちばかりでした。
 このため、「やりたいこと」と「実際にやらなければならないこと」の不一致があってすぐに辞めたり、2年や3年の短期間で辞めてしまったことがありました。
 そういう意味でも、有期実習型訓練を活用したことによって、より早く、当社がどのような会社なのかを学ばせることができましたので、辞めるか辞めないは別にしても、お互いのために良いのではないかと思います。
 このように、有期実習型訓練に取り組んで良かったと実感しています。どこが良かったかというと、京都府地域ジョブ・カードセンターの制度普及推進員の方やジョブ・カード作成アドバイザーの方などの強力な支援体制があったということです。
 有期実習型訓練を活用して正規雇用した訓練生は、入社してから既に10カ月くらいになります。正規雇用した後も、今回作成した訓練カリキュラムなどを活用し、3カ月ごとに目標を設定して社長や先輩社員と面談することによって、抱えている悩みとか、スキルアップの進捗状況についてヒアリングしています。
 こうした過程で、お互いにコミュニケーションを重ねたことにより、本人は、今後何をやりたいのか、何が悩みなのかについて理解するための機会としても役立てることができていると思っています。
【注】
 この原稿は、京都商工会議所が2月22日に開催した「ジョブ・カードフェア(企業に対する説明会)」で事例発表した(株)竹定商店の営業部長・井上定治氏の説明内容を基にして、京都府地域ジョブ・カードセンターの事務局がとりまとめたものです。
 

(平成28年4月現在)

有期実習型訓練の概要

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